2019年(令和1年) 10月9日(水)付紙面より
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酒田市は7日、今年11月の黒森歌舞伎(県指定無形民俗文化財)ポーランド公演の詳細計画を発表した。同市黒森地区の住民による継承団体「妻堂連中」(冨樫久一座長)や市の関係者ら計41人が11月2日(土)から9日(土)まで7泊8日にわたり渡航、首都ワルシャワ市と古都クラクフ市で計4公演するほか、現地の市民らと歌舞伎や伝統文化を通じ交流を深めてくる。
黒森歌舞伎は江戸・享保年間(1716―35年)から黒森地区に伝わる農民芸能。日本文化研究家でポーランドのアダム・ミツキェヴィチ大(ボズナン市)助教授のイガ・ルトコフスカさんが東京大大学院に留学中の2010年2―5月、黒森を訪れて同歌舞伎を取材。その縁で、ポーランド・日本国交樹立100周年の今年11月、日本の約170の地芝居を代表して同国で公演することになった。同歌舞伎の海外公演、同国での歌舞伎公演はともに初という。
公演は、妻堂連中や黒森歌舞伎保存会、黒森コミュニティ振興会、県、市の5機関が18年1月に設立した黒森歌舞伎ポーランド公演実行委員会(実行委員長・冨樫座長、事務局・市社会教育文化課)が主体となり、県、市の助成を受けて実施する。
渡航するのは、妻堂連中を中心とする同歌舞伎の関係者36人と、丸山至市長ら市の関係者5人の計41人。11月4日にワルシャワ市の演劇大、同6日にクラクフ市のマンガ博物館でそれぞれ2回公演する。演目は華やかな演出で見どころが多いという「義経千本桜 伏見稲荷鳥居前の場」。
公演に前後してワルシャワ市内では、ワルシャワ大で勘亭流書家による歌舞伎文字、ベドナルスカ小学校で庄内の伝統工芸「傘福」作り、在ポーランド日本国大使館広報文化センターで黒森歌舞伎の押し絵、アジア・太平洋博物館で歌舞伎の各ワークショップを行い、現地の子どもや市民らと交流してくる。
7日の定例記者会見で丸山市長は「現地に行ってみないと分からない面もあるが、公演後も交流を続けられる可能性があれば、市としても検討していく」と交流発展に意欲を示した。