2020年(令和2年) 12月25日(金)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡南高校(坂尾聡校長)で23日、「数学トップセミナー」が開かれ、理数科の2年生40人が、東北大理学部数学科の猪奥倫左准教授の講義で、身近な疑問を科学的に考えるノウハウを学んだ。
2012年度から連続2期10年にわたり文部科学省の指定を受けて取り組む「スーパー・サイエンス・ハイスクール」(SSH)事業の一環。未来を担う科学技術系の人材育成を狙いに理数系教育の充実を図るもので、当初は4月に2泊3日の日程で宮城県の東北大や東北医科薬科大、宮城大の理数系・医療系の研究室などを訪ねる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止となり、その代替プログラムとして企画された。
猪奥さんは「シャボン玉が丸いことを不等式で説明する」と題して講義。「科学的に物事を考えるには、疑問を持つことが大事。次によく観察し、問いを立て、定式化し、問題を解く」というプロセスを説明した。そして、「なぜシャボン玉は丸いのか」という疑問を提示し、「自然界は無駄をしない、最小作用の原理があるため」とし、針金のフレームを使ってシャボン玉を作る実験で、最小作用の働きを示した。
そして、「体積が一定で表面積が最小になるのは球体か」という問いを平面に置き換え、一定条件の曲線や面積を微積分などを使った数式で表現し、問いを証明するという数学的思考を解説。「何事も疑問から始まるが、疑問は他人からは教えてもらえず、自分しか持てない。文学や芸術の衝動も同じ。自分だけの疑問ノートを作り、自分で答えを探して。勉強を重ねることで、自分の中から疑問は湧き上がる」とした。
三浦龍星さん(17)は「難しいが、今やっている内容もあり大筋の考え方は分かる。楽しみながらやっていることがとても参考になる」と話した。