2020年(令和2年) 2月6日(木)付紙面より
ツイート
鶴岡市下川の善寳寺(五十嵐卓三住職)で、4日、立春恒例の「お水取り式」が行われた。参拝者が家内安全や無病息災を願って境内の沢から清水をくみ、守護神の龍神へささげた。
貝喰(かいばみ)の池の裏にある龍王沢から水をくみ、本堂まで運んで龍神にささげる行事。全国から毎年ツアーを組んで参拝者が訪れる。
貝喰の池そばの龍神堂で祈祷(きとう)終わりの太鼓が鳴ると、参拝客らは龍王沢へ移動しひしゃくで滴りを受け止めて朱色のおけに集めていった。今年は晴天に恵まれ貝喰の池の水面がキラキラと輝いていた。参拝客は口々に「ダイヤモンドみたい」と話し、輝く水面に合掌する姿があちこちで見られた。
おけは白装束の信徒2人が担ぎ参拝客と列を成して本堂へと運ばれた。龍神へささげた後は立春大祈祷が行われた。
2020年(令和2年) 2月6日(木)付紙面より
ツイート
昨年春の類焼で作業場と自宅を失った庄内町余目の陶芸家・斎藤勇さん(79)が、多方面から支援を受け、先月、梵天窯の再スタートを切った。
斎藤さんは東田川郡栄村(現庄内町)家根合生まれ。30歳で梵天塚の自宅に窯を設け、本格的な作陶活動を始めた。師を持たず独学で長年研さんを重ね、これまで県総合美術展で県展賞や奨励賞を受賞しているほか、現代日本陶芸展や朝日クラフト展、日本美術展覧会など数々の入賞を果たした。
昨年4月23日の類焼による焼失から再建した作業場は、以前の3割ほどの広さに縮小を余儀なくされ、展示場の間取りも変更された。日展入選作や最高賞を受賞した作品群も火災で焼失した。精神的・肉体的にショックが残り体がきつい。顧客も一時途絶え新規開拓する気持ちが萎えた時もあった。
そんな中、窮地を応援したのが「陶芸家・斎藤勇さんの創作活動を支援する会」(長南久良代表)。長南代表は斎藤さんの庄内農業高校時代の同級生であり、日本美術展覧会の入選時も祝賀会を企画した。
斎藤さんは仲間からの応援に応えるように徐々に気力を取り戻し、「以前は家族を養う必要もあり商売気もあったが、今は違う。これを機に器ではなく本来の芸術表現に向かうようになった」と話し、意欲を見せる。
これからは生活用品ではなく芸術作品を創るという。作陶を志し、独学で研究を始めた頃の気概に戻った。窯元に隣接の展示場には焼け残った美しい作品群が並ぶ。老境に入ってから鬼気迫る作品を残した芸術家は多い。今後の作品が期待される。問い合わせは斎藤勇さん=電080(9257)7755=へ。