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荘内日報ニュース


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2020年(令和2年) 3月15日(日)付紙面より

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庄内に“コロナショック” 観光関連事業に大打撃

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国的に観光需要が急速に落ち込んでいる。庄内地域の温泉地などの各旅館・ホテルでも団体客を中心に予約のキャンセルが相次ぎ、3月の宿泊客が前年比9割減を見込む旅館もあり、旅館に食材を納入する業者にも影響が広がり、「コロナ・ショック」の大打撃に苦境に立たされている。旅館・ホテルの経営者らは異口同音に「いつ終息して人が動きだすのか先が見えないのがつらい。“体力勝負”に耐えられるかだ」と悲痛な声を上げる。

 鶴岡市観光物産課が、市内4温泉地の計41宿泊施設を対象に今月3―5日に実施した聞き取り調査によると、2月の宿泊客キャンセル人数は全体で3194人で前年の宿泊実績比7・6%の減だった。しかし、3月は8418人に急増し、前年実績比53・1%と大幅に減少している。「3月に入ってからはキャンセルの電話しかない」と話す経営者もいて、キャンセル数はさらに増大している。4月以降の大口予約のキャンセルも続いている。キャンセルはバスを使ったツアーなど団体客が中心で、「マイカーの家族旅行や小グループ旅行が辛うじてあるぐらい」(湯野浜温泉の旅館経営者)といった状況が続く。

 あつみ温泉の旅館支配人は「3月のキャンセルは8割。食材の仕入れや光熱水費を最小限にし、耐えるしかない」と話す。さらに昨年6月の山形県沖地震で被災し「復旧工事で借り入れた返済が既に始まっている。無利子であってもさらに借金はできない。この状況が5月の連休も続くようなら本当にきつくなる」と語った。

 別の温泉地の旅館経営者は「この状況が長引けば、死活問題だ。雇用調整も考えている」とし、「キャンセルは1000人を超えた。宿泊が少人数の場合は、稼働させずに他の旅館に回ってもらったりするなど互いに融通し合い、コストを抑えてしのいでいる。今は営業よりも運転資金の金繰り」と話した。湯野浜温泉の旅館経営者は「3月は今のところ4割減だが、4月の予約は8割減。人の動きが止まり収入の見通しが立たない現状では、たとえ無担保無利子の融資であっても借金はできない。借入返済猶予や固定資産税の減免、納付期限延長など、国の抜本的な救済対策が必要だ」と窮状を訴える。

 「ひどいってもんじゃない」とやり場のない憤りに似た悲痛な声を上げるのは、鶴岡市内の旅館・ホテルなど十数軒に食材を納入する業者の社長。「温泉地のホテル・旅館だけでなく、学校の謝恩会や送別会など地元関係の宴会もキャンセルが相次ぎ、飲食店への納入もままならない。町内会の総会なども延期され、何重苦にもなっている。全国どこも同じ状況だ。政府の経済対策が遅過ぎる」と、国の政策に注文を付けた。

 庄内の観光地の一つ鶴岡市立加茂水族館。今冬は暖冬に加え小中学生の入館無料企画で入館者数が伸び、リニューアルオープン以来1月としては最高の2万1765人の来場を記録した。2月末の政府の学校臨時休校要請などの動きを受け、首都圏や中京圏からの団体客のキャンセルが相次ぐ。「感染拡大防止のため、状況によっては臨時休館もある」としている。


2020年(令和2年) 3月15日(日)付紙面より

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日常失ったけど…晴れやかに 庄内3市町で中学卒業式

 鶴岡市と三川、庄内両町の全中学校で14日、卒業式が行われた。新型コロナウイルス感染予防対策で3市町では、保護者は出席したが在校生と来賓の出席はなく、例年と比べて大幅に短縮。規模は縮小したものの心を尽くした式典で祝福を受け、卒業生たちが学びやを巣立った。

 3市町中最多となる204人が晴れの門出を迎えた鶴岡市立鶴岡第三中学校(西脇庸校長)では、通常2時間余の式典を約1時間短縮。卒業生入場を済ませた状態で開始したほか、合唱は2曲減らして校歌の1曲のみ。卒業証書授与は1人ずつ行うも名前読み上げ役を担任教諭、証書の手渡しを校長がそれぞれ担いテンポよく実施。在校生送辞、来賓祝辞はなかった。保護者の出席は生徒1人につき2人以内、席間隔を空けるといった措置も講じた。全卒業生と教職員約50人が出席、用意した保護者席約350席はほぼ満席だった。

 西脇校長は式辞で、例年とは異なる形式での実施に痛惜の念を吐露。卒業生へのはなむけの言葉として、「雪は我慢することと、ものを考えることを教えてくれた」と藤沢周平の言葉を紹介し、豊かで厳しい郷土の自然が育む人間性を失わずに先行き不透明な時代を生き抜いて、などと激励した。また、保護者には「自らの人生を豊かで幸せなものにするとともに、地域に貢献できる人材となってくれることを願う。子どもたちに鶴岡の素晴らしさを伝え続けてください」と呼び掛けた。

 卒業生代表で生徒会長の齋藤翔太さん(15)と生徒会副会長の佐藤静瑠(しずる)さん(15)が別れの言葉。「当たり前だと思っていた日常、青春の日々があっという間に失われた。このような状況下でも無事に卒業式ができることに感謝。在校生にこの場で直接私たちの思いを伝えられれば良かったが、きっと学校の伝統をより発展させてくれるはず」と述べ、恩師、保護者、友人たちに感謝を伝えて「明日から私たちは夢と希望と勇気を胸に、自分の足で自分の道を探して歩いていく」と決意を語った。

 出席した保護者のほとんどは「参加ができただけでも良かった」と話していた。

家族や後輩、恩師らの温かい拍手が会場に響き渡る中、退場する卒業生たち=鶴岡三中
家族や後輩、恩師らの温かい拍手が会場に響き渡る中、退場する卒業生たち=鶴岡三中

卒業式を終えて記念撮影する卒業生。登校は9日ぶりだったといい、笑顔をたたえた
卒業式を終えて記念撮影する卒業生。登校は9日ぶりだったといい、笑顔をたたえた



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