2021年(令和3年) 1月6日(水)付紙面より
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酒田凧(たこ)保存会(佐藤利昭会長)の会員が制作した酒田凧の逸品を集めた「伝統の酒田凧展」が、酒田市山居町一丁目の山居倉庫「華の館」で開かれ、来館者の目を楽しませている。
1970年代に市内の旧家から見つかった凧の下絵集には「万延元年」「慶応元年」の表記があったことから、酒田凧の歴史は江戸時代末期までさかのぼるとされる。明治期には主として左官職人が仕事の減る冬場、壁塗りの骨組みに使う竹で凧を制作し卸していたが、戦後の一時期途絶えたという。
下絵集が見つかったことを受け伝統ある酒田凧を残していこうと75年、有志が集まって保存会を設立。会員は酒田凧を制作する傍ら、毎年3月の凧あげ大会(市中央公民館主催)の運営を支えたり、5月の「子どもまつり」などでは子どもたちに凧作りの楽しさを教えるなど後世に引き継ぐ取り組みを続けている。
今回の展示では、酒田凧特有の文様「亀」を連ねた連凧、独特な絵柄で人気の高い「武者凧」など計約30点を展示し、館内は新春ムードいっぱい。中でも目を引くのは「川中島」と題した3畳もの大きさの大凧で、相打つ武田信玄と上杉謙信の力強さと色の鮮やかさが際立つ。来館者は足を止め、一点一点に見入っていた。
入場無料。展示は今月11日(月)まで。