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荘内日報ニュース
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2021年（令和3年） 9月5日（日）付紙面より
ツイート魔女がやってきた―酒田市美術館開幕 角野作品の挿し絵原画200点
「魔女の宅急便」「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」など絵本から児童文学、自伝的小説までさまざまな作品を生み出している作家、角野栄子さん（86）の魅力について、作品の中で使用された挿し絵の原画を通し触れる企画展「魔女がやってきた―角野栄子展」が4日、酒田市美術館で開幕、初日午前から大勢の市民らが訪れ、作品の数々に見入っている。
角野さんは1935年生まれ。出版社勤務を経て1959年から2年間、ブラジルに滞在。この時の体験を基に70年、ノンフィクション「ルイジンニョ少年―ブラジルをたずねて」（ポプラ社）を発刊した。79年に現在まで続く絵本「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」がスタート、82年には福音館書店刊の月刊誌「母の友」で代表作の一つでその後、アニメ映画にもなった「魔女の宅急便」の連載が始まった。2000年に紫綬褒章、14年に旭日小綬章をそれぞれ受章。18年には児童文学作家に贈られる「国際アンデルセン賞」を受けた。
今回は、角野さんの作品で描かれた挿し絵の原画など約200点を3章構成で紹介。林明子さん、広野多珂子さん、佐竹美保さんが作画を担当した「魔女の宅急便」の主人公・キキと黒猫のジジ、本県出身の絵本作家・荒井良二さん、「ミッフィー」でおなじみのディック・ブルーナさんら20人と競作した「魔女からの手紙」に登場する魔女たちが並ぶ他、角野さん自ら絵も担当した「いろはにほほほ」の原画も展示している。展示は10月17日（日）までで、会期中は無休。問い合わせなどは市美術館＝電0234（31）0095＝へ。
幅広い年代に愛される角野さんの魅力に迫る企画展
2021年（令和3年） 9月5日（日）付紙面より
ツイート（酒田・からむし工房あざみ） 今野志美子さん カラムシから多彩な作品 長年の夢 着物と帯 編んで制作 道具も手作り 将来は“飛島産”手掛けたい
イラクサ科の多年草「カラムシ（青苧（あおそ））」から取った繊維を使って手編みでバッグや着物、ランプシェードなどの制作に取り組む酒田市若浜町の「からむし工房あざみ」（今野志美子代表、会員15人）。今野さん（77）は自宅で指導しており、会員は「先生は好奇心が強く、明けても暮れても実験。なんでも自分で考案するところがすごい」と話す。
カラムシは国内で古くから栽培されており、その繊維で織った新潟県の「越後上布」や「小千谷縮（ちぢみ）」は吸湿性や通気性、耐久性に優れ、製法が国の重要無形文化財に指定されている。収穫から作品になるまでの工程が多く高度な技術を要するため、現在では携わる人が極めて少なくなっているという。
今野さんは12年前、友人の勧めでシナノキの皮の繊維で織る鶴岡市関川地区に伝わる伝統工芸「しな織」を体験したことをきっかけに、植物から繊維が取れることに興味を持ち、調べる中で庄内地域にも広く自生するカラムシと出会った。最初は本を見ながら独学で繊維を取り始め、その後、「からむし織」で有名な福島県昭和村に見学に行き技術を学んだ。
今野さんは「道具もすべて自分で考えて作った」と話し、「糸を作る作業はとても難しく、最初は1本の糸を作るのに数時間かかった」と振り返る。一般的な織物ではなく、かぎ針で編んで作品を作り、今年は長年の夢だった着物と帯を制作した。将来の夢はカラムシを同市の離島・飛島に植えて栽培し、島内の植物で染めること。飛島では真水で栽培することが難しいため、海水で育てる実験を続けているという。
今年は長年の夢だった着物と帯を制作
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