2021年(令和3年) 1月5日(火)付紙面より
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鶴岡市羽黒町手向の羽黒山頂で12月31日―1月1日にかけ疫病退散や五穀豊穣(ほうじょう)などを願う年越し行事「松例祭」が行われた。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止のため無参列にし、勇壮に繰り広げられる「大松明(おおたいまつ)引き」(国重要無形民俗文化財)を取りやめるなど規模を縮小したが、神職や山伏で出羽三山1400年の歴史をつないだ。
三山の開祖・蜂子皇子が、民衆を苦しめていた病魔を焼き払い退散したという故事などに基づいた祭事。祭りの主役・位上(いじょう)と先途(せんど)と呼ばれる2人の松聖(まつひじり)が9月24日から100日間にわたって修行を積む羽黒修験「冬の峰」の満願に合わせて行われる。
出羽三山神社によれば例年、大みそかには約5000人の参拝者が訪れ、地元住民で構成される若者衆や神職など合わせて100人を超える人数で行ってきたが、今回は関係者のみで斎行。縁起物の切綱(きりつな)を参拝者に投げ与える「綱まき行事」を取りやめたほか、若者衆が参加できない代わりに山伏が松明を手にし悪魔・ツツガムシに見立てた高さ約3メートルの大松明に火を放った。
出羽三山神社の吉住登志喜禰宜(ねぎ)は「新年は私たちが生きながらえることができ、コロナが終息する年になれば」と話していた。
2021年(令和3年) 1月5日(火)付紙面より
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◇鶴岡市
皆川治市長は午前10時から市役所別棟で、部長や次長・参事級の幹部職員を前に年頭のあいさつを行った。3密を避けるため、例年実施している勤続25年職員表彰は延期し、教育委員会や荘内病院、上下水道部、各地域庁舎はオンライン対応となった。
皆川市長は新型コロナウイルス感染症の拡大、7月の豪雨災害、市街地へのクマの出没など昨年を振り返った後、「今年は出羽三山丑歳御縁年、松ケ岡開墾150年、あつみ温泉開湯1200年、さらには東日本大震災から10年の節目の年。そうした中ではあるが、コロナ禍はいまだ収束せず、われわれがいかに対応していくかが問われている」と述べた。
その上で市総合計画を柱にしたSDGs未来都市、デジタル化、働き方改革など市政の重点項目を挙げ、「経済、社会的に厳しい状況にある市民がいる。課題は山積している。現場の声に耳を傾けることを徹底してほしい」と呼び掛けた。
◇酒田市
新型コロナウイルス感染拡大防止のため丸山至市長は全職員に対して文書で年頭あいさつ。昨年を「歯止めのかからない人口減少に加え、コロナ禍にさいなまれた1年。厳しい行財政運営を強いられた。新たな危機管理・防災体制の在り方に一石が投じられた」と振り返る一方、駅前交流拠点施設「ミライニ」(幸町一丁目)のプレオープン、新産業会館(中町二丁目)や新消防本部・本署(大町)の工事着工、日本海沿岸東北自動車道秋田県境区間の2026年度までの開通見通し発表、山居倉庫(山居町一丁目)の国指定史跡に向けた文化審議会答申に触れ、「地域発展につながるシナリオも着実に前進を見せた年。コロナ禍の副産物として望外の成果だったデジタル変革(DX)の推進もあった」と述べた。
保育機能の充実につながる「みなと保育園」の開設、旧割烹小幡に整備する日和山観光交流拠点施設のオープン、飛島への海底光ケーブルの敷設、今年3月にまとまるDX戦略を基にした市民サービス、地域、行政の「3つのDX」推進、ギガスクール構想による小中学校における1人1台パソコンの整備、外航クルーズ船の寄港再開を視野に入れた域内観光資源の磨き上げなど、これからの動きを紹介した上で「市民生活を守り、地域経済に活力を吹き込み、次世代を担う若い人たちに夢と希望を与えられるような取り組みに果敢にチャレンジしていく」とした。
また、経済産業省が昨年、二酸化炭素を多く排出する非効率な石炭火力発電所を2030年度まで段階的に休廃止する方針を示し、酒田共同火力発電(宮海)も含まれているとみられることに関し、「国の動きを注視しながら、市が中心となって官民によるコンソーシアムを立ち上げて雇用と地域経済を守る取り組みを強めていく」との考えを示した。
そして「新型コロナ収束の兆しは見えず、市民の皆さんには引き続き、新しい生活様式の徹底をお願いしたい。皆さんと一緒に元気な酒田の再生を目指して頑張っていきたい」と呼び掛けた。