2021年(令和3年) 2月12日(金)付紙面より
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山形大学農学部(村山秀樹学部長)の外国人留学生が鶴岡市の旧旅館をシェアハウスとして再利用、話題になっている。
市内泉町の旧旅館「みゆき荘」は1962(昭和37)年開業、11年前廃業後、長らく空き家だったが昨年「シェアハウスみゆき」としてリノベーション。6室あるが、現在インドネシア3人、カンボジア1人の計4人の女性を受け入れている。インドネシア人のミラさん(25)は柿や梨など果樹の熟度に関して勉強している修士課程の大学院1年生で2年間滞在予定。カンボジア人ソチャンさん(26)は環境問題・防災などを勉強している博士課程1年目の大学院生でこちらは3年間学ぶ予定。ともに鶴岡に来て間もない。「きょうは私がナシゴレン(インドネシア風チャーハン)を作るわ」とミラさんが台所で語りかければ、ソチャンさんはカンボジア風の辛い玉子焼き「ポンティア」が得意料理。それぞれの料理もシェアし合っている。ミラさんは豚肉を食べることを禁じられているイスラム教徒だが、市内の業務用スーパーでは同教徒でも食べることが許される「ハラル」認証食物が手軽に買える。
食事が終われば、日本間でお茶飲みタイム。それぞれの将来を語り合う。ともに帰国後は研究者の道を歩もうと思っている。
家族は今回それぞれの国を旅立つ際、国際線の到着後、成田空港周辺で“コロナ対策”のため2週間の待機期間があったことを「東京近くにいてコロナ感染は大丈夫?」と心配していたが、無事やり過ごしての鶴岡入り後は「寒さに気をつけて」と言う以外は安心したそうだ。
6人収容(定員)のシェアハウスは140万円でリフォームされた。うち65万円は市などが出資したファンド(つるおかランド・バンク)が手助けしてくれた。大家の負担は75万円で済み、月々計9万4000円の家賃収入であてがっていく。留学生たちも6人で割った場合、1人あたま1万5000円台の月家賃で済む勘定だ。
「梅の間」「桜の間」「桐の間」など古風な居室はそのまま。築58年の建物はもし解体したとしても大金が掛かったわけで、空き家再利用は利にかなっている。
大学側もコロナ後の留学生増加に対処するために、シェアハウスの存在はありがたい。現在アジア、アフリカを中心に40人を超えた留学生がいる。国費留学生やJICA(国際協力機構)ルートの留学生に関しては、奨学制度で住居費もそれほど心配ないというが、自費留学生は発展途上国の場合、鶴岡のような地方の生活でも費用などが重くのしかかる。寮、市営住宅に住む留学生もいるが、大学はシェアハウスを増やしていきたい構え。市の空き家対策と合わせ、それぞれメリットがあり、「みゆき」をテストケースに検証していく方針だ。
2021年(令和3年) 2月12日(金)付紙面より
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鳥海山・飛島ジオパークの再認定を記念した「さかた界隈(かいわい)まち歩きツアー」が11日、酒田市定期航路事業所を発着する、市中心部の約5キロのコースで行われた。NHK総合「ブラタモリ♯113山形・酒田」で、タモリさんらを案内した市交流観光課の小林和也さんのガイドで、市民らが街歩きを楽しんだ。
ジオパークは、地球の活動がよく分かる地質や景観が大切に守られ、教育や持続可能な開発に活用されている地域。2016年に日本ジオパーク委員会(JGC)の認定を受けた同ジオパークは、教育活動やジオツーリズム、認定品制度の創出などで「他のジオパークの参考になる優れた取り組みも確認できた」と評価され、今月5日に再認定された。
今回のツアーは、再認定とともに、「世界ジオパーク」を目指す機運醸成に向け市が企画、市民約20人が参加した。コースは定期航路事業所を発着点とし酒田港、日和山公園、下日枝神社、光丘文庫、相馬樓、船場町界隈を経由するコース。小林さんは最初、同事業所前に掲示されている鳥海山・飛島の俯瞰(ふかん)図を使って東北地方の成り立ちを解説。参加者と共に歩を進め、「酒田港築港のしゅんせつで出た土砂で造成したのが大浜工業地帯」「酒田の鉄道のスタートは酒田港駅。酒田駅の開業を前に、酒田港駅から新潟、秋田に向け貨物を運んだ」「飛島では今シーズン、イカやトビウオが不漁。脂がのった飛島のトビウオは日本で一番おいしいと言われる」などと紹介した。参加した市民は時折、小雪が舞う天候にもかかわらず、約1時間半にわたってまち歩きを楽しんだ。
同様のイベントは、今月13(土)、14(日)の両日も開かれる。定員は先着20人で直接、午前10時まで出発地の市定期航路事業所に集合する。参加費は200円(中学生以下は無料)で、ツアーの様子を会員制交流サイト(SNS)などで紹介した人には返金する。マスク必須。雨天中止。問い合わせなどは市交流観光課=電0234(26)5759=へ。