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荘内日報ニュース


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2022年(令和4年) 1月28日(金)付紙面より

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在来野菜の有効活用 技術向上と課題解決 庄内アグリビジネス研究会発足 発表会で今後の展望・先進事例を紹介

 生産から流通、消費まで農業が抱えるさまざまな課題解決に取り組む庄内アグリビジネス研究会(主幹=酒田市引地・農園貞太郎、遠藤久道社長)の発足発表会が26日、酒田市産業振興まちづくりセンター「サンロク」で開かれ、遠藤社長が今後の展望を紹介するとともに、先行して課題解決に取り組む2社の事例が紹介された。

 サンロクは地元企業や農林水産業者らのニーズ(課題)とシーズ(技術や能力)をつなぎ、創業や農商工連携、新商品・サービスの開発、販路開拓の支援、女性活躍などを推進し、産業振興につなげるなど活動している。

 サンロクでは、異分野連携による新産業の可能性について探っていたが、農園貞太郎を主幹に、全国で企業支援に取り組むリバネス(本社・東京都)とサンロクがコアメンバーとなり、同会を立ち上げた。

 この日の発足発表会にはオンラインも含め約20人が参加。遠藤社長が「野菜残渣(ざんさ)など農業には数多くの課題がある。これを解決するには、さまざまな人との情報交換や専門家の協力が必要と考えた。また、庄内には在来野菜が多くあるので、そうしたものを活用しながらコアな技術を高めていきたい。多くの事業者の方々から会員として参加してもらいたい」と設立趣旨を説明した。オンラインで参加したリバネスの井上浄CTOは「庄内の熱い人たちをサポートできないか考えていた。課題を一歩前に進めていける研究会にしていけるのでは」と期待を述べた。同会では今後、技術セミナーなどを開きながら、参加メンバーを募り、リバネスなど専門家からの知見を得ながら具体的な課題解決や、新たな異分野連携の可能性を探っていく方針。

 その後、先進事例を学ぶセミナーが行われ、粉末化技術で野菜の有効活用に取り組む同市の「グリーンエース」や、牛の尿を微生物で分解し消臭剤などを生産する北海道北見市の「環境大善」の事例が紹介され、参加者が熱心に聞き入っていた。

庄内アグリビジネス研究会が発足し、設立趣旨を説明する遠藤社長(右)
庄内アグリビジネス研究会が発足し、設立趣旨を説明する遠藤社長(右)


2022年(令和4年) 1月28日(金)付紙面より

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文化財防火デー “国の宝”を火災から守る 鶴岡、酒田で関係者や消防団員が訓練

 文化財防火デーの26日、鶴岡市羽黒町手向の国指定重要文化財・羽黒山正善院黄金堂で消防訓練が行われた。正善院の関係者や消防団員が通報や初期消火、放水などを訓練し、有事に備えた。

 文化財防火デーは1949年1月26日に奈良県斑鳩町の法隆寺金堂の壁画が焼けたことを受け、火災や災害から文化財を保護しようとする声が上がり、55年に文化庁と消防庁が制定。毎年この日に合わせて全国で文化財防火運動が行われ、文化財保護の意識を高めている。鶴岡市消防本部管内では今年、23日から来月4日にかけて、同市馬場町の旧藩校致道館や羽黒町の松ケ岡開墾場などの指定文化財計10施設で総合訓練を実施する。藤島の東田川郡役所での訓練は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で消防分署の出向は中止した。

 この日、黄金堂の訓練には鶴岡市消防団羽黒方面隊や正善院の関係者など13人が参加。本堂内からの出火を想定して行われた。

 非常ベルで駆け付けた正善院の関係者4人は本堂内の安否確認を行い、素早く消防に通報。消火器で初期消火に当たった。現場に到着した団員は近くに設置された2つの放水銃で本堂付近を目がけて放水。同本部羽黒分署の職員からアドバイスを受けながら水が出る角度や勢いなどを確認した。

 同消防団羽黒方面隊の齋藤直道隊長(48)は「素早い消火活動で、真剣に取り組むことができた。鶴岡市にとって大切な財産を守るため、火元には十分気を付けてほしい」、正善院の島津慈道住職(76)は「毎年行っている訓練だが、考えていることが実践できるかが重要。地元の消防団員との顔合わせも兼ねているので、貴重な訓練になった」と振り返った。

 酒田地区広域行政組合消防本部管内では26、27の両日、国指定史跡の旧鐙屋や山居倉庫など12施設で訓練や立ち入り検査が実施された。

本堂横に設置された放水銃で放水する消防団員=26日、鶴岡・正善院黄金堂
本堂横に設置された放水銃で放水する消防団員=26日、鶴岡・正善院黄金堂


2022年(令和4年) 1月28日(金)付紙面より

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《ひと》農業の“原点回帰”唱える

鶴岡市立農業経営者育成学校SEADS校長
百瀬 清昭(ももせ きよあき)

 「これからの農業は五感を磨き、人間力を高めることが重要になる」。昨年4月にSEADS(シーズ、鶴岡市千安京田)の初代校長に就任した。ICT(情報通信技術)を駆使したスマート農業の推進が叫ばれる中、あえて“原点回帰”を唱える。

 シーズは、旧いこいの村庄内を改修して2020年4月に開校。2年制で持続可能な農業の技術や経営を座学と実践で指導している。修了後に5年以上、市内で定住・就農することを条件に内外から研修生を受け入れ、1期生は13人が入校。しかし、前例のない取り組みで課題も多く、次々に辞めて5人に。市は2年目の本年度、カリキュラムとスタッフを拡充する一環で校長ポストを新設、元県職員で県立農業大学校(現農林大学校)校長も務めた百瀬さんに白羽の矢を立てた。

 「多くの情報はネットで入手できるし、数字や係数も大切」とする。しかし、「高収入や効率にとらわれ基本を疎かにすると、失敗する。土作りや作物の特性をしっかり押さえ、五感で作物と対話するのが基本」と説く。

 人間力については「法人化が進み、雇用を伴う経営や販売のノウハウが重要になる。チームワークや商談など人とのコミュニケーション能力が大切になる」と見据える。

 今春に送り出す1期生5人は、2人が雇用、3人は独立による就農が決まっている。昨春に入校した2期生9人は一人も辞めず、「海、山、平野がある庄内暮らしを満喫し、『来て良かった』という人も多い」という。現在は3期生を募集中で、「大企業を辞めて入校を希望する人もいる。SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりやコロナ禍による地方回帰もあり、農業を志す若者が増えつつある」とみる。

 今後については「意欲ある人を迎えて育て、地元で就農、新しい風で活性化につなげてもらいたい。全国の成功モデルにしたい」と意欲。運営には地元の大学や農協、企業も関わっていることを挙げ、「さまざまな専門家と橋渡しできるハブ機能を生かし、よろず相談所的な機能も担いたい。より広域的な取り組みにも期待。研修先や修了後の農地、住宅の確保など地域の支援も欠かせない」と協力を呼び掛ける。

 1952年生まれ。山形大農学部を卒業し75年、県職員に。畜産試験場などを経て2010―13年に県立農業大学校校長、14―16年に鶴岡市新規就農アドバイザーなど歴任。趣味のスキーは指導員の腕前、羽黒の山伏修行・秋の峰は6回入峰した(山伏名・剛顯)。妻、長男夫婦、孫2人、母と7人で鶴岡市羽黒町上野新田で暮らす。69歳。

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