2024年(令和6年) 4月19日(金)付紙面より
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東北公益文科大学(酒田市、神田直弥学長)で学ぶ学生から起業家精神を育んでもらおうと昨年、学内で発足した「起レ業(ギョウヲオコス)研究所」が運営する、県寄付講座「起業マインド育成講座『アントレプレナーシップ演習』」が17日、学内で開講した。1―4年生54人が受講、初回は、3月まで県企業振興公社(当時)による「スタートアップステーションジョージ山形」メンター(指導者、助言者)を務めた渡邊貴史さん(セーフィー営業本部長補佐)の講話、グループワークを通して起業に必要な知識と経験について理解を深めた。
公立化・教育内容強化に向け公益大は昨年、地域産業のこれからについて議論する「地域連携シンポジウム」を随時開催。これを受けて「自らの意思で業を起こし、地域や社会を変える『起業マインド』を持った人材の育成」を目標に同研究所を設立。昨年11月に同市のガーデンパレスみずほで発足記念のシンポジウムを開き、新田嘉一公益大理事長は席上、「地域の未来を支えていく人材育成に結び付くことを期待する」と述べた。
起業マインドを持ち、本県の活性化・課題解決に寄与する人材育成を目的にした県の寄付を受け同研究所は本年度、外部講師による講話を通して学生たちから主体的に取り組む姿勢を身に付けてもらい、在学中や卒業後にスタートアップ企業を設立したり、組織の中で新商品や新ビジネスを自ら企画するなど地域・社会に新たな風を吹き込む力を養ってもらおうと同演習を開講。春学期はガイダンスを含め7月17日(水)まで全13講。
防犯カメラを活用したクラウド録画サービスなどのセーフィー(東京)に勤務する傍ら、本県をはじめ全国各地でスタートアップの顧問・アドバイザーとして活躍する渡邊さんはこの日、「起業に必要な知識と経験とセンス」と題し講話。冒頭、「起業家に大事なものは、バランスとリスク管理を基にしたセンス。センスを研ぎ澄ますためには知識と経験が必須」と述べ、事業拡大・安定収益が図られる「勝ちパターン」とともに、倒産・清算に至る「負けパターン」も知ることの必要性を解説。そして「学生の時にさまざまな体験を通して知識・経験を増やして。起業は一つの自己表現手段、自己実現手段。アントレプレナーシップ教育で学んだことの生かし方は、起業だけでない。いかようにもある」と呼び掛けた。
受講した1年の木村光惺(こうせい)さん(18)=青森・五所川原第一高出身=は「高校時代、地域課題解決に取り組むクラブに所属しており、より自分を成長させたいと思って受講した。学びを生かし津軽三味線を全国に広める活動などに取り組みたい」と話した。同研究所によると、全13講で2単位取得。秋学期は今年10月に開講する予定という。