2018年(平成30年) 12月29日(土)付紙面より
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鶴岡市あつみ温泉の旅館「萬国屋」(前田新一社長)が上山市の旅館「古窯」(佐藤洋詩恵社長)に経営を譲渡する方向で調整を進めていることが、分かった。萬国屋の名称は変えず、古窯が年明け以降に経営を引き継ぐという。ともに「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で毎年上位にランクされるなど全国的に高い知名度を持つ県内を代表する旅館で、庄内と内陸の旅館が手を組むことにより、県内への観光誘客効果が期待される。
萬国屋は江戸時代の寛文年間(1661―72年)創業とされる、350年ほどの歴史を有する老舗旅館。フランス・パリの万国博覧会にちなんで明治初期に「萬国屋旅館」とし、1981(昭和56)年にホテル萬国屋として法人化。85年に社名を萬国屋に改称した。94年に10階建ての新本館「楽山楽水」が完成。現在の客室数は127室。
萬国屋は設備投資などに対する負担軽減が課題となる中、将来を見据え県内外の企業と連携を模索。そうした中で、古窯に絞って経営譲渡に関した調整に入った。古窯の経営ノウハウの提供を受け、収益力向上につなげる判断があるとみられる。経営譲渡後も萬国屋の従業員の雇用は維持される見通し。萬国屋は荘内日報の取材に「今は何も話せる段階にない」としている。
古窯は1951(昭和26)年に創業。2008年に山形市の「悠湯の里 ゆさ」を取得し、経営する旅館は上山市の「おやど 森の音」を含め3カ所ある。
旅行新聞社(本社・東京)主催の本年度の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」では、総合ランクで古窯が6位、萬国屋が11位となっている。