2015年(平成27年) 1月5日(月)付紙面より
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鶴岡市大網の湯殿山総本寺、大日坊(遠藤宥覚住職)で、今年の未歳(ひつじどし)御縁年に合わせて秘仏御本尊「湯殿山大権現」(金胎両部大日如来)の御開帳が行われている。仏教の最高位で金剛界(こんごうかい)と胎蔵界(たいぞうかい)の両界からなる大日如来の仏像が公開され、この世に生まれてきたことを感謝する山である湯殿山信仰をあらためて伝えている。公開は年内。
伊勢、熊野と並ぶ日本三大霊場の一つで「言わず語らずの山」として古くから厳しい戒律に守られてきた湯殿山。大日坊は大同2(807)年に弘法大師空海によって開基された真言宗の古刹(こさつ)。正式には湯殿山瀧水寺金剛院と号する。湯殿山が雪深く女人禁制の秘境であったため、弘法大師が女人の心を哀れみ、一年を通し誰もが参詣できるようにと神仏を勧請(かんじょう)し、女の湯殿山として建てたのが起源となっている。
御縁年は、天地陰陽・自然の法則により衆生全てが如来の胎児として生まれたとの仏教の教えに基づき、父を表す金剛界と母を表す胎蔵界の両界の大日如来が天地で和合した際に、聖なる右足が金剛界で丑(うし)、胎蔵界で未に位置することから、丑歳と未歳の6年に一度公開している。
御開帳は1日午前0時から始まった。弘法大師自作の秘仏と伝えられ、木造で高さ60センチほど。金剛界大日如来が人さし指を伸ばして握るなどした智拳(ちけん)の印を結んでいるのに対し、坐禅の姿である左手の上に右手を乗せた法界定印(ほっかいじょういん)を結んでいる。明治の廃仏毀釈(きしゃく)以前までは湯殿山に祭られ、除災招福、五穀豊穣(ほうじょう)、闘病平癒、諸願成就、商売繁盛など霊験があるとして全国の信者に参詣されてきたという。
第95世貫主の遠藤住職は「大日如来は胎(=子宮)を意味し、湯殿山は生命の始まりの山として、生まれてきたことに感謝するのが本来の信仰の姿。未歳御縁年のありがたい年に多くの方に参詣していただきたい」と話している。