2015年(平成27年) 6月3日(水)付紙面より
ツイート
出羽三山神社の「奥の院」と称される湯殿山(1504メートル)の開山祭が1日、鶴岡市田麦俣の湯殿山神社本宮で行われ、澄み切った青空の下、県内外の参拝客が諸願成就を祈った。
湯殿山は、羽黒山と月山で修行を積んだ修験者が生きながら仏の境地に入る聖地とされ、霊湯が湧出する巨岩がご神体として祭られている。昔から「語るなかれ、聞くなかれ」と戒められ、1689(元禄2)年にこの地を訪れた松尾芭蕉は「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」の句を残している。
標高1100メートル付近にある本宮付近は例年になく雪解けが進み、新緑がまばゆいばかり。午前中から白装束姿の信者らが大勢足を運び、本宮前ではだしになり祈祷(きとう)を受けた後、人形の依(よ)り代で手足を拭って汚れを取り除き、近くのせせらぎに流した。
午前11時から開山祭が始まると本宮内は参拝者で満杯状態。神官が祝詞を上げ、参拝者も三語拝詞などを唱えながら静かに手を合わせ、順に玉串をささげて商売繁盛や家内安全などを願った。3年続けて訪れているという福島県三春町の自営業、影山勝夫さん(71)は「東北の復興を願ってお参りしている。お湯が出ているご神体が本当に神が宿っているようで神聖。それに本当に御利益がある」と話していた。