2005年(平成17年) 11月6日(日)付紙面より
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酒田商工会議所女性会(白旗月美会長)は、来年3月に庄内一円で開かれる「庄内ひな街道」での展示を目指し、さまざまな布細工を糸でつるす「傘福(かさふく)」作りを進めている。布細工計5000個を製作しつるす予定で、広く市民を対象に講習会を兼ねた製作教室を開催している。女性会副会長で傘福チームの熊谷孝子さんは「酒田の伝統文化を後世に引き継ぎ、ひな街道にいま一度、にぎわいを取り戻したい」と話している。
傘福は江戸時代、酒田に伝わったとされるつるし飾り。静岡県の「つるし飾り」、福岡県の「さげもん」とともに、日本三大工芸細工の1つに挙げられている。
着物のはぎれ、不用になった布団の綿などを用いイヌやフクロウ、庄内柿、ダイコン、ニンジン、座布団などさまざまなものをモチーフにした布細工を作り、それらを1本の糸でつるすもの。「子供が健やかに育つように」という願いを込め女性が作り、ひな祭りなどで神社などに奉納したという。
女性会は、県の「地域づくり事業」を活用し1997年、元料亭・相馬屋で「酒田のひな祭り」を開催。旧家の蔵で眠っていたひな人形を復活させ、現在、庄内一円で行われている「ひな街道」スタートのきっかけとなった。
今回の傘福作りは女性会が設立25周年の節目を迎えたことを受け、記念事業の1つとしてひな祭りに関連がある傘福を後世に引き継いでいこうと、女性会の熊谷さん、村上弘子さんが中心となって「傘福チーム」を組織し企画した。
8月下旬に市民も参加し講習会がスタート。11月末までの計9回が布細工の製作、12月以降の3回がつるす作業。4日に酒田産業会館で開かれた講習会には女性約70人が参加。手なれた様子ではぎれを縫い上げ、中に綿を詰め庄内柿をモチーフにした布細工を次々に完成させていた。
次回講習会は今月12日午後1時半から酒田市総合文化センターで開かれる。熊谷さんは「口コミで参加者が増えているようだ。はぎれや綿は女性会で用意するので、興味がある人がいたら積極的に参加してほしい」と話している。
傘福に使用する布細工を製作する女性たち。来年3月の「庄内ひな街道」で展示される