2007年(平成19年) 5月26日(土)付紙面より
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みちのくの奇祭として知られる鶴岡市の「天神祭」が25日、本祭りを迎えた。あいにくの雨模様となったが、大勢の市民が長じゅばん姿に編み笠と手ぬぐいで顔を隠した「化けもの」にふんし、同市神明町の鶴岡天満宮を訪れて学業成就などを祈願した後、祭りの見物客でにぎわう市内に繰り出した。
庄内三大祭りの一つの天神祭は、学問の神様・菅原道真公をまつる鶴岡天満宮の例祭。道真公が京から九州の大宰府に配流されるとき、道真公を慕う人々が姿を変え、顔を隠してひそかに酒を酌み交わし別れを惜しんだ、という故事に由来する。
すそをたくし上げた長じゅばん姿に角帯を締め、編み笠と手ぬぐいで顔を隠した市民たちが、道行く人に無言で酒を振る舞う独特の習わしから「化けもの祭り」とも呼ばれてきた。化けもの姿で3年間、誰からも知られずお参りすると、願いがかなうとの言い伝えもある。
本祭りの25日は午前中から鶴岡天満宮を化けもの姿でお参りする市民でにぎわった。境内では伝統の天狗舞と獅子舞の奉納上演があり、大人や子供の化けものが参拝に訪れ、さっそく見物客に酒や清涼飲料水を振る舞う姿が見られた。
午後からは、祭りを彩るパレードが行われた。祭りの主役・道真公や優雅な手踊りによる「天神はんくねり」、大絵馬や子供みこし、小学校単位の踊りフェスティバルなどの「にぎわい天神パレード」の2コースが市街地を華やかに練り歩いた。沿道に繰り出した大勢の見物客は化けものに酒をついでもらいながら、道行くパレードを満喫していた。
鶴岡天満宮をお参りした「化けもの」たちが市内に繰り出した