2008年(平成20年) 5月17日(土)付紙面より
ツイート
環境省のレッドデータブックで、「絶滅危ぐ?種」に指定されているメダカをシンボルにした農産物のブランド化を進めている庄内町家根合地区で15日、メダカなど魚類を排水路から水田に導くための魚道の設置作業が行われた。関係者は「メダカがすめるほどの減農薬の水田で育った米『メダカライス』として今秋、売り出したい」と意気込んでいる。
同地区と、隣接する落合地区では2000年から始まったほ場整備により、農業用水路・排水路に生息するメダカなど魚類の数が減少した。
県庄内総合支庁、家根合地区有志でつくるNPO法人「家根合生態系保全活動センター」(佐藤昭一理事長)は昨年、今回魚道を設置した水田とは別の水田にメダカ500匹を放流。同支庁農村計画課の推計によると、メダカは20倍の約1万匹まで増えたという。ここから収穫された米を使用し「メダカライス純米酒」を醸造・販売した。
今回の魚道設置は、生息環境の改善を図ることで、魚類を増やすとともに、メダカをシンボルにした農産物のブランド化のきっかけにしてもらおうと、同支庁が「地域ビジネス支援事業」の一環として実施。同センターと最上川土地改良区が協力した。宮城県・伊豆沼の事例を参考に、そ上中の魚類が下に落ちないよう、木製障壁の上部が斜めになっており高位と低位が交互にある「千鳥X型」と呼ばれる魚道を設置、メダカなどを排水路から水田に導くことにした。
この日の作業には同支庁や同センター、同改良区から関係者計約20人が参加。6時間ほどかけ、京田川、藤島川の合流地点から東西に流れる幹線排水路と、同センター会員の1人、伊田信博さん方の水田を結ぶ長さ約14?の鉄製の魚道(幅約25?、深さ約30センチ、斜度8度)を設置した。
同課では「この排水路にはメダカのほか、ドジョウやウグイなども生息しており、これらも一緒に魚道をそ上するだろう」と話している。佐藤理事長によると、別のセンター会員の水田約30アールに来月上旬、メダカ200匹を放流する予定。「メダカを放流する水田から収穫した米は『メダカライス』として売り出したい。『メダカがすめる水田でできた米』としてPRしていけたら」(佐藤理事長)という。
メダカなど魚類を水田に導くための魚道が設置された