2009年(平成21年) 10月11日(日)付紙面より
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米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」に贈呈されたオスカー像の公開が10日、鶴岡市羽黒町松ケ岡のギャラリーまつで始まった。午前中から大勢のファンらが足を運び、24金が施された像を前に、「すごい」と感嘆の声が上がった。
オスカー像はアカデミー賞の副賞で、高さ約35センチ、重さ約4キロ。スズと銅の合金で作られ、表面に24金が施されている。
庄内地方をはじめ県内が舞台、ロケ地となった映画だったことに加え、受賞後の地元の熱意を感じた庄内映画村の宇生雅明社長が「ぜひ庄内に持ってきたい」と、所有するおくりびと制作委員会の関係者に交渉し、今回ようやく借用が実現した。
庄内会場の皮切りとなったギャラリーまつではこの日、午前10時の開場とともに待ち兼ねたファンらが足を運んだ。3連休の初日とあって県外客も多く、透明のケースに入ったオスカー像を前に、「きれい」「思ったより小さい」などと言いながら、近づいて台座の文字を読み取るなどしていた。
鶴岡市の男性(69)は「もう一生見る機会がないと思って、込み合う前に来ました」と話し、研修旅行で庄内を訪れた福島県いわき市の農協職員の女性(59)は「すごい、触ってみたい」と笑顔。帰省中という東京都の会社員女性(34)は「こんなに間近で見られてドキドキします」と話していた。
ギャラリーまつでの展示は14日まで。その後、庄内総合支庁や酒田市役所などを巡回。展示時間はいずれも午前10時―午後4時。写真撮影は禁止。
オスカー像の県内公開に先立ち、9日、庄内映画村の宇生雅明社長がオスカー像を携えて吉村美栄子知事を表敬訪問した。
宇生社長からオスカー像を手渡された吉村知事は「イメージではもう少し大きいと思ったが、小さいけどすごく重く、とてもまぶしい」と感想。「国内で初めてとなるオスカー像が山形にきて県民の皆さんも喜ばれるのでは。ぜひ見ていただきたい」と述べた。
庄内での公開を前に宇生社長は「たそがれ清兵衛以来、数多くの映画の撮影に協力してきた庄内の皆さんに映画の神様がごほうびをくれたと思っている。多くの人から見ていただき、喜びを分かち合いたい」と話した。
「すごーい」。映画「おくりびと」に贈られたオスカー像を間近にし、感嘆の声が上がった=10日、ギャラリーまつ