2009年(平成21年) 11月10日(火)付紙面より
ツイート
任期満了に伴う酒田市の市長選と市議選は8日、ともに投票が行われ、即日開票された。市町合併5年目に入った市政のかじ取り役を決める市長選は、現職で無所属の阿部寿一氏(50)=自民推薦=が、ともに新人で元農林水産省近畿中国森林管理局長の梅津準士氏(58)=民主、社民、連合山形推薦=と元八幡町議の堀大常氏(75)を破り、再選を果たした。30議席を目指して34人が立候補した市議選は、現職3人と新人1人が涙をのんだ。同市の当日有権者数は9万3286人(男4万3781人、女4万9505人)。前回、ともに72・44%だった投票率は市長選が0・29ポイント下回る72・15%、市議選が72・14%だった。
今回の市長選は、「合併の総仕上げ」を訴える阿部氏と、「チェンジ!酒田」をスローガンに掲げる梅津氏が事実上の一騎打ちを展開。市を二分する激しい戦いを繰り広げた。
阿部氏は、「合併はゴールではなくスタート。ここで退場するのは無責任。次の方向性を私に定めさせてほしい」と主張。地元選出の佐藤藤弥、星川純一、森田廣の自民3県議、旧3町長、商工会議所を中心にした400余りの企業・団体などの応援を得て、市議選に立候補した保守系の現職・新人計19人と連動して選挙を戦った。
前回、支援を受けた連合が対立候補側に回るなどの不利な状況を、旧市を含めて3期約10年半、市長を務めた高い知名度を生かして克服。出身地の松山地域では優位に立ち、反応が鈍かった市街地でも最後は票の掘り起こしに成功、接戦を制した。
梅津氏は、「酒田の営業本部長になってトップセールスを行う」と強調。1月の知事選で吉村美栄子氏を当選させたときの地元の体制を踏襲し、厚い組織を構築した。8月の立候補表明直後から市内全域をくまなく回り、約400回にわたってミニ集会を開くとともに朝は国道沿線でつじ立ちを行い、心配された知名度不足をほぼ解消した。
告示後は土田広志県議、保守系の現職2人を含む市議候補計9人の応援を得たほか、後援会長の新田嘉一平田牧場会長も個人演説会や街頭演説で弁士を務めるなど前面に出て支援。吉村知事や和嶋未希、吉泉秀男両衆院議員らの応援もあり、阿部市政に対する批判票を取り込んで肉薄したが、わずかに及ばなかった。
堀氏は、副市長への女性登用、鳥海高原家族旅行村を中心にした観光振興策などを公約に掲げ、独自の戦いを繰り広げた。
約3000票差で再選を果たし万歳する阿部寿一氏(中央)