2009年(平成21年) 5月8日(金)付紙面より
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鶴岡市の湯野浜温泉街で5日、湯野浜まつりが行われ、奴(やっこ)振りや温泉発見の故事にちなんだ「亀引き行列」の山車などが繰り出し、温泉街を練り歩いた。
湯野浜まつりは、明治時代初期に同市馬町の椙尾神社から分かれた温泉神社の例祭として毎年開かれている。温泉神社には、漁師が温浴するカメの姿を見て温泉を発見したという由来から、カメが「湯蔵権現」としてまつられている。
行列は温泉街南側の上区公衆浴場近くから正午すぎにスタートした。毛槍(やり)などを担いだ奴振り、温泉神社の御神旗、榊(さかき)引きの稚児行列、カメと漁師の人形を組み合わせた山車、踊り隊など総勢約300人がホテル海山までの約1キロをくねり歩いた。
奴振りの威勢の良い掛け声と槍渡しの妙技に沿道の見物客からは大きな拍手がわいた。法被姿やきれいに着飾った女の子たちの稚児行列には「めんこいのー」の声も上がり、響き渡る祭り太鼓の音とともに温泉街は華やいだ雰囲気に包まれていた。
榊引きの稚児行列で華やいだ湯野浜まつり
2009年(平成21年) 5月8日(金)付紙面より
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五穀豊穣(ほうじょう)などを願う遊佐町の鳥海山大物忌神社(伊藤眞垣宮司)吹浦口之宮例大祭(通称・吹浦祭り)が5日、同宮境内を中心に繰り広げられた。伝統の花笠舞が奉納上演され、華麗な舞で大勢の見物客を魅了した。
鎌倉時代から続くという由緒ある祭り。花笠舞などの吹浦田楽は、県の無形民俗文化財に指定されている。
今年も5日午前9時から、同宮本殿で例大祭神事。同神社責任役員の新田嘉一平田牧場会長らが、諸願成就を祈って玉ぐしをささげた。正午すぎ、吹浦小5・6年生による子供樽(たる)みこし2基が元気いっぱいに同宮を出発。県内各地や首都圏からも担ぎ手が集まる吹浦みこし、漁業関係者が担ぐ漁船の形をした船みこしが、威勢よく続いた。
午後1時半ごろ、白装束に烏帽子(えぼし)をかぶった遊佐中学生が担ぐ同宮のみこし2基を中心にした渡御(とぎょ)行列がスタート。伊達奴(だてやっこ)の先導で、晴れ着姿の未就学児たちによる「台花持ち」などが、約2時間かけて吹浦地区中心部を練り歩いた。この日は五月晴れ。気温も上昇し、行列参加者は沿道から差し入れられるビールやジュースで、のどを潤しながら行進した。
行列が同宮に戻ると、御頭舞、巫女(みこ)舞が奉納され、最後に花笠舞。8人の舞い手が、稲の花を表す真紅の造花、雨を模した紙垂(しで)を下げた花笠を付け、特設舞台に登場。太鼓、笛の音に合わせて手にしたビンザサラを打ち鳴らしながら最初はゆっくり、しだいに速く舞った。
舞が終わって花笠が四方に一斉に投げ入れられると、見物客らは縁起物の花を競って奪い合い。花笠はあっという間に跡形もなくなった。
縁起物の花笠が待ちかねた見物客の中に投げ入れられた
2009年(平成21年) 5月8日(金)付紙面より
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鶴岡市大網の注連寺(佐藤弘明住職)境内で「七五三掛(しめかけ)桜」が見ごろを迎え、大勢の行楽客が訪れている。
七五三掛桜はカスミザクラで、根回り4・9メートル、幹回り3・3メートル、高さは約15メートル。樹齢は約200年とされる巨木で、例年北海道札幌市のソメイヨシノと同じ時期に開花を迎える。咲き始めは白っぽい花が、満開になると徐々に薄ピンク色に変わっていく。神秘的な美しさを見ようと毎年、県内外から多くの観光客が同寺を訪れる。1996年に旧朝日村の天然記念物に指定された。
今年は、4月に高温の天候が続き、例年より数日早く同29日ごろに開花した。
6日は、県内外から大勢の家族連れが訪れ、花びらが舞い散る七五三掛桜の下で記念撮影をしたり、空いっぱいに広がる枝をゆっくり眺めていた。同寺では「今年は5月2日に満開を迎えた。花の色はほとんど変わり散り始めたが、今週いっぱいは楽しめると思う」と話していた。
鶴岡市大網の注連寺の境内で、花を咲かせている七五三掛桜