2009年(平成21年) 7月28日(火)付紙面より
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豊かな自然に包まれた湖畔で音楽に耳を傾けるコンサート「森と水そして月光のしらべ」が26日、鶴岡市和名川の月山ダム近くの「くわだいさくら公園」で開かれた。
月山ダムを水源とする地域の住民が一体となり、地域活性化と水源を守る意識の高揚を目的に、庄内一円の音楽関係者や文化人、学生などが実行委員会(伴和香子委員長)を組織し企画。今回で4回目を迎えた。
オープンニングは、地元の朝日中学校吹奏楽部と羽黒高校吹奏楽部の合同演奏で幕開け。第1部では鶴岡ジュニアオーケストラや朝日中吹奏楽部の演奏のほか、小堅小児童の「岩ゆり太鼓」、大網小児童の「大網大黒舞」などが披露された。
第2部では国立音楽大学名誉教授の田島好一さん(バリトン)と羽黒高出身の齋藤希恵さん(ソプラノ)、鶴岡北高出身の草場貴子さん(同)、国立音楽大の稲葉千恵さん(ピアノ)の4人が「月の光」「落葉松」などを披露。フィンランド出身のヤンネ舘野さん(バイオリン)、日本シベリウス協会理事の駒ケ嶺ゆかりさん(メゾソプラノ)、世界各国でソリストとして活躍しているマルッティ・ラウティオさん(ピアノ)の3人がベートーベン作曲の「月光」などを披露した。
この日は時折、雨がぱらつく天候となったが、大勢の市民が会場を埋め、自然の中で流れる音色に耳を傾けていた。
自然に囲まれた湖畔ステージで演奏や歌声が次々と披露された
2009年(平成21年) 7月28日(火)付紙面より
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水上に組んだ野外ステージで国指定重要無形民俗文化財の黒川能を上演する「水焔(すいえん)の能」が25日夜、鶴岡市櫛引総合運動公園で行われ、首都圏のツアー客約100人を含む県内外から訪れた約500人の観客を幽玄の世界へいざなった。
1984年に旧櫛引町が町制施行30周年を記念して初めて開催し、今年で26回目。舞台は上下両座が隔年で演じ、今年は下座が演能を担当した。
この日、午後5時半の開演時には梅雨空が広がり時折弱い雨が降る蒸し暑い天候となったものの、特設ステージ前の芝生席に陣取った観客たちはビールを飲むなどして思い思いに演能を楽しんだ。
地元の櫛引東小児童による舞囃子(まいばやし)「嵐山」に続き、今回の演目の能「大江山」」、狂言「琵琶借(びわかり)」、能「野宮(ののみや)」の3番が演じられた。このうち、源頼光ら一行が鬼神の酒呑童子(しゅてんどうじ)を討つ「大江山」は1時間を超える演能。クライマックスに至るまでの物語性が時間の経過を忘れさせ、演者たちの流れるような舞と劇的な場面が観客を魅了した。闇の深まりとともに水上に設けられた4基のかがり火の炎の色が濃くなり、薪のはぜる音と響き渡る謡の声、笛、太鼓が重奏。観客たちは水面に映る舞とともに水焔の能ならではの雰囲気に浸っていた。
揺らめくかがり火と水面に映る舞が独特の雰囲気を醸し出した水焔の能