2010年(平成22年) 1月21日(木)付紙面より
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庄内浜の冬の味覚を代表する寒ダラの底引き網漁が、間もなく最盛期を迎える。今冬はこれまでのところ、しけ続きで出漁できる日が少ないのに加え、魚体が小さい上に1隻当たりの水揚げ量も平均20―30匹と少ない状況。漁業者らは「節分まで」とされる寒ダラの旬の時期に、一日でも多く出漁できる天候になることを期待している。
県水産試験場(鶴岡市加茂)によると、庄内浜全体の今月上旬のタラ水揚げ量は約5トンで、昨年の22%、平年の56%にとどまっている。1日の漁で50キロ以上の水揚げがある船が10隻以上ある底引き網漁の今冬の「初漁日」は今月11日で、水揚げは計1・2トン。その後は、出漁できれば1日当たり2トン前後の水揚げがある。
県漁協由良総括支所では「しけで今月に出漁できたのは3、4日ほど。その上、魚体も2、3キロが中心と小さく、タラの数自体も少なめ」と説明。ただ、先週あたりから大きさ、量ともに「いくらか回復傾向」とし、漁がピークを迎える今月下旬から来月初めまでに「1日でも多く、なぎになってほしい」と話す。
そうした中、酒田港所属の第28廣徳丸が19日午後4時半ごろ、操業許可を持つ秋田県沖での漁を終えて寄港。13キロという超大物をはじめ、丸々と太って文字通り「たらふく」状態の良形タラを、魚箱で200個余り水揚げした。漁業関係者や県漁協酒田総括支所の職員らが仕分け作業。1匹1匹重さを計り箱詰めされた。同夜の入札や翌朝の競りで、オスは高値で1キロ当たり1000円前後の値が付いた。
廣徳丸の船主・船長の池田亀五郎さん(64)=酒田市山居町二丁目=は「今日の水揚げは例外。競りでもまずまずの値段が付いて、ようやく半分生き返った」と苦笑。その上で「昨年に比べれば庄内沖の漁は“薄い”と思う。何とか平年並みまで戻ればいいが」と今後に期待を託していた。