2010年(平成22年) 7月3日(土)付紙面より
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在来作物をテーマにした山形大農学部主催の講座「おしゃべりな畑」が開講した。定員の30人を上回る75人が受講。初回の6月29日は東京大名誉教授で農学博士の今村奈良臣さんや山形大農学部准教授の江頭宏昌さんの講演を聞いた。
地域の貴重な食材としてはぐくまれ、「生きた文化財」として注目を浴びている在来作物に焦点を当て、栽培技術や歴史、文化などを学びながら機能性成分など付加価値を高め、新たな利活用につなげるきっかけにしてもらおうと企画。多彩な講師陣が12月まで月2回の講義と、月1―2回の実地研修を予定している。
地元の農家や販売業者、レストラン経営、行政関係などさまざまな分野から予想を上回る人数が受講。開講の29日は、今村さんが「農業の動向と課題」、江頭さんが「山形在来作物の歴史」と題してそれぞれ講演した。
このうち国際化時代のわが国農業のあるべき姿や活性化戦略について提言している今村さんは、農業・農村政策にかかわる基本スタンスとして、「農業は生命総合産業であり、農村はそれを創造する場」「農業ほど人材を必要とする産業はない」など5つの方針を説明。
その上で、日本の典型的な農村スタイルである“長男社会”を「長男は計画や革新、新しいことを始めるイノベーションに欠ける」とばっさり。「異質な人間、異質な社会、異質な文化など、異質なものにいかに出合い、勉強するかが大事。それが人間の発展につながる」と話し、これから始まる講座で農業の6次産業化を目指す人たちへ心構えを説いた。
講座では今後、農学部の教員やシンクタンクの研究員、企業経営者、料理人らによる講義、実地研修では赤カブの焼き畑体験や東京にある県のアンテナショップでの対面販売実習などを行う。