2010年(平成22年) 11月25日(木)付紙面より
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鶴岡市山五十川の河内神社秋祭典が23日に行われ、地区に伝わる2つの伝統芸能「山戸能」「山五十川歌舞伎」(ともに県指定無形民俗文化財)が山五十川公民館で献納上演された。
山戸能は、平安初期の866(貞観8)年に始まったとされ、1964年に県文化財に指定された。山五十川歌舞伎は、江戸中期の宝永年間(1704―1710年)に始まったとされ、1986年に県文化財に指定された。
現在は、山五十川古典芸能保存会(本間英機会長)の下、能が三浦喜夫座長以下約30人、歌舞伎が鈴木金右エ門座長以下約30人の各座員が、主に河内神社例祭の春(5月3日)と秋に上演している。
この日は、活気に満ちた能の座揃(ざぞろい)の囃子(はやし)で始まった。稚児舞「恋慕の舞」「式三番」に続き、平知盛の幽霊と弁慶が登場する番能「舟弁慶」が演じられた。
続く歌舞伎では、仮名手本忠臣蔵五段目「山崎街道鉄砲渡しの場 山崎街道二つ玉の場」、同六段目「与市兵衛内勘平腹切の場」が演じられた。亡君のあだを討つため資金を調達しようとしている勘平が、誤って鉄砲で盗賊を撃ち、持っていた金を奪う。金は盗賊が、勘平の義父を殺して奪ったものだったが、勘平は自分が義父を殺したと勘違いし自害するという展開。主君や身内への情が複雑に絡み、悲劇を生む物語に、会場を埋めた観客は引き込まれるように見入っていた。
盗賊の斧定九郎役は市教育委員会のALT(外国語指導助手)、ピーター・アリスマさん(27)=米国出身=が務め、好演して会場を湧かせていた。
2010年(平成22年) 11月25日(木)付紙面より
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「漁師のまかない魚」を使った料理の試食会が23日、酒田市の酒田産業会館で開かれた。市民ら約150人が参加。マトウダイやカナガシラ、ノロゲンゲといった市場にあまり出回らない魚を、フランス料理などにして味わった。
「まかない魚」とは、漁獲量が少ないため一般市場で取引される機会は少ないものの、地元の漁師がまかない用として味わっているおいしい魚介類のこと。試食会は、同日に発足した庄内浜文化伝道師協会の設立記念イベントとして県庄内総合支庁が企画。ともに普段から低利用魚の活用に努力している同市のレストラン欅総調理長の太田政宏さん、日本料理「鵜渡幸」総料理長の須田剛史さんが調理を担当した。
前菜は「サワラのムース茶きんしぼり」や「大和芋とカスベ(ガンギエイ)のかるかん寄せ」など、見た目も鮮やかな色合いの4品。続くスープは、生きた黒エビをいためてから2時間余り煮込み、こして生クリームなどで味付けした「黒エビのビスク」。濃厚で味わい深さが好評を博した。
メーン料理は「マトウダイのすり身カナガシラ巻きクリームソース」。白身で美味なマトウダイを、つや姫のリゾット、遊佐の白ナス、鶴岡の藤沢カブ、平田の赤ネギなど地元産の野菜とともに味わった。
パン代わりに「庄内バーガー」が登場。ノロゲンゲのフライに、遊佐産パプリカなどを使って庄内町のしょうゆの実で味付けしたタルタルソースをかけ、鵜渡川原(うどかわら)キュウリのピクルスをトッピングして庄内米の米粉パンで挟んだ「オール地場産バーガー」で、こちらも「おいしい」の声が広がった。
デザートは「柿しぐれのタルト」と「ラフランスのシャーベット」。同市内から参加した相馬ミツ子さん(66)は「こういう料理の方法もあると、勉強になった。特に黒エビのスープがおいしかった。家でも作れそうなので、挑戦してみたい」と話していた。