2011年(平成23年) 8月31日(水)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡工業高等専門学校(加藤靖校長)の学生たちが、今月31日から9月2日まで2泊3日の日程で酒田市の飛島を訪れ、現地で家電製品の修理ボランティアに取り組む。学生たちは「校内ではできないことを経験する良い機会。授業で学んだことを生かす場にしたい」と、工具や家電の部品補充など準備を進めている。
同校制御情報工学科の宍戸道明准教授が「テクノパラメディック」(技術の救急隊)活動として昨年度に引き続き企画した。地域貢献やものづくり学習を図るとともに、ボランティア活動を通して学生たちからコミュニケーション能力や自主性、創造性などを身に付けてもらうことが狙い。
昨年は宍戸教授の研究室生9人のみの参加だったが、「家電修理のボランティア」というユニークな活動に興味を示した本科生2―5年生と、専攻科生(大学3、4年相当)の1、2年合わせて計32人が飛島に足を運ぶ。
学生代表が7月中に飛島に出向き、酒田市の協力を得て事前調査を実施。住民から修理の希望を受け付け、学生の技術で直せるか確認するとともに、足りない部品や工具などをリストアップした。
今回、現地で学生たちは「とびしま総合センター」の体育館に寝泊まりし、「家電修理班」と「自転車修理班」「炊事班」の3班に分かれ、活動を繰り広げる。自転車は市が貸し出している観光用のもので、学生たちも島内を回るため利用する。昨年使おうとしたところ、ペダルが欠損していたり、ブレーキが利かなかったりする自転車があったため、これらも修理して島内観光の環境良化にも一役買う方針だ。
出発直前の29日、宍戸准教授の研究室で学生たちが現地で使用する道具や修理部品の詰め込み作業などを行った。おそろいの青色のポロシャツも用意したほか、顔写真入りのネームプレートを首から下げ、学生同士や島民が一目で分かるようにする、万全の準備をした。
リーダーで制御情報工学科5年の田村和輝さん(19)は「昨年訪れた時、潮風が強いため家電はさびによる故障が多いと気付くなど、新しい発見も多く、家電製品の中身を実際に見て構造を理解する良い機会になる。何より『ありがとう』と住民の皆さんからお礼を言われることがうれしい」と話していた。
宍戸准教授は「顧客満足を得られることが技術職の本質。それを学生のうちに経験し、修理の先にある感動や達成感を味わってもらいたい」と話した。