2011年(平成23年) 11月16日(水)付紙面より
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出羽三山神社の「松の勧進」が15日、お膝元の鶴岡市羽黒町手向地区で始まった。山伏たちの吹き鳴らすほら貝の音が山里に響き、初冬の訪れを告げた。
松の勧進は、大みそかから元旦にかけて羽黒山頂で行われる出羽三山神社最大の祭事「松例祭」の浄財を集める行事。100日間の修行を積み祭りで主役を務める山伏の松聖(まつひじり)2人が、小聖(こひじり)の山伏を従えて家々を回り、無病息災や家内安全のお札を配る。
今年の松聖は、「位上(いじょう)」が成田雄男さん(65)=手向、山伏名・雄真=、「先途(せんど)が勝木正人さん(63)=同、正展=の2人。9月24日から100日修行に入り、今月13日まで前半の50日間は精進料理を食べ、朝夕に勤行を行うなど「別火」精進を続けた。現在は羽黒山中の斎館にこもり、後半50日間の修行を積んでいる。
この日は時折冷たい雨が降る寒い天気となり、午前8時半すぎ、小聖8人を従えた一行が同神社社務所を出発。小聖たちが吹くほら貝の音だけが静かな宿坊街に響き渡る中、松聖たちは地区内の末社を、小聖たちは早速商店や家々を回り、“師走”の訪れが近いことを告げた。
松の勧進は1週間ほどかけて羽黒地域を巡る。来月1日からは旧鶴岡市内などを回り、庄内全域で12月いっぱい続けられる。