2011年(平成23年) 8月26日(金)付紙面より
ツイート
庄内地方の在来作物を使ったレシピ集「はたけの味」が発刊された。鶴岡食文化創造都市推進協議会(会長・榎本政規鶴岡市長)が、文化庁の文化芸術創造都市モデル事業の採択を受け編集したもので、だだちゃ豆や庄内柿、平田赤ネギなど季節ごとの在来作物15種類を取り上げ、伝統的な料理法と西洋風な新感覚の料理法計45品目を紹介している。
山形在来作物研究会(会長・江頭宏昌山形大農学部准教授)の監修で、鶴岡市西荒屋の農家民宿・レストラン「知憩軒」の長南光さん、みゆきさん親子の料理をまとめ、2009年1月と11月に発行したレシピ集が元となっている。これに、新たにウルイ、オカヒジキ、ミョウガ、平田赤ネギ、山ブドウの5種類を加えた。
15の在来作物ごとに「伝統的料理」「簡単にできる家庭料理」「新しい発想の料理」の3レシピずつを収録。伝統料理の民田ナスの浅漬け、だだちゃ豆のみそ汁、孟宗汁のほか、赤ネギとイカのマリネ、だだちゃ豆のペペロンチーノ、バンケの冷製スープ、孟宗とモッツァレラの生ハム巻きなどが鮮やかな写真や作物の解説とともに紹介されている。食材や料理の完成品の写真は、鶴岡市在住のカメラマン・高橋政知さんが担当した。巻末には庄内地方の在来作物マップと在来作物を購入できる庄内の産直施設リストも載せた。
レシピ集は、在来作物を「生きた文化財」としてデータ蓄積して活用する事業の一環で、庄内の豊かな食文化の発信につなげるもの。蓄積するアーカイブには、「祭礼料理」などのデータも収録する計画。
さらに同協議会は、「はたけの味」に載せた在来作物をテーマにした料理講習会を、9月と11月に予定している。
レシピ集はA4判75ページの全編カラー。酒田市のメディア・パブリッシングが発行し、初版は5000部。1部1400円。問い合わせは同協議会事務局の鶴岡市政策推進課=電0235(25)2111、内線529=へ。
2011年(平成23年) 8月26日(金)付紙面より
ツイート
月山6合目から旧参道を登って湯殿山に下りるかつての登拝ルートを巡るトレッキングツアーが、9月10、11の1泊2日の日程で行われる。コースとなる旧参道は、地元の手向地区(鶴岡市羽黒地域)の宿坊後継者らがボランティアで環境整備をしてきたもので、一般を対象にツアーを実施するのは初めて。窓口の羽黒町観光協会では「めったに登れないルート。かつての出羽三山参拝の行程を地元の人にも体験してほしい」と話している。
月山卯歳(うどし)御縁年企画事業として、出羽商工会が事務局となって各観光協会などと連携して展開している「月山・新八方八口プロジェクト」の一環で、羽黒町観光協会が提案した羽黒口ツアーの一つ。
羽黒山を経由して月山山頂に向かう旧参道はかつて、13の山小屋が掛けられていた。月山に山岳道路が整備され、1967(昭和42)年に8合目まで開通すると、大型バスなど日帰りで参拝する人が増え、山小屋は姿を消し、旧参道は使われなくなった。
旧羽黒町では2002年から、失われていた旧参道を歴史的遺産として後世に残そうと、宿坊後継者らでつくる地域づくり団体「蜂鼓山社中」を中心に、町や出羽三山神社などでつくる実行委員会が環境整備事業をスタート。ボランティアを募り、下草刈りや山小屋跡の礎石発掘などを続けてきた。
これまでの取り組みで登山道は整備してあったものの、本格的なトレッキングツアーを実施するのは今回が初めてで、ツアーでは月山6合目から旧参道を登り始め、初日は9合目の仏生池小屋に宿泊。翌日に9合目から山頂に向かい、月山本宮を参拝した後、湯殿山へ下りる。いでは文化記念館が集合場所で、初日の月山6合目までの移動と、2日目の湯殿山神社からいでは文化記念館に戻る際はバスをそれぞれ運行する。
6合目から7合目にかけて細く入りくねった道となる「七曲(ななまがり)」と呼ばれる難所があるほか、かつて山小屋の名から合清水と呼ばれた7合目からの見晴らしは絶景という。先達を務める蜂鼓山社中のメンバーたちは「参拝者のほかにも、山小屋や強力(ごうりき)など山に携わった人たちが歩いた道。そうした歴史や自然を体験できる機会」と話す。
料金は宿泊代や食事代を込めて1万6000円。申し込みは9月1日まで。問い合わせなどは羽黒町観光協会=電0235(62)4727=へ。