2011年(平成23年) 8月27日(土)付紙面より
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鶴岡市の大山地区に伝わる民俗芸能「大山いざや巻」に取り組む小学生の会員を対象とした「いざや巻キッズ華の会」の開講式が25日、大山小学校敷地内にある新民館で行われた。児童たちが地元に伝わる芸能の習得に向け、けいこに入った。
いざや巻は、拍子木と歌に合わせ踊り手たちがせりふを交えながら踊る。戦国時代まで庄内地方を治めていた尾浦城主・武藤氏が出陣の際、将兵の士気を鼓舞するために踊ったという説もあるが、詳細は分かっていない。
キッズ華の会は、後継者の育成や地元の子供たちに伝統芸能に触れてもらおうと、住民有志で組織する大山いざや巻保存会(三浦洋一会長、会員12人)が立ち上げた。今年6月から大山小学校児童を対象に参加を呼び掛けたところ、永壽今日子さん(6年)と原田愛梨さん(4年)が入会した。
開講式には保存会のメンバーや入会した2人のほか、見学の児童たちが参加。自己紹介で永壽さんと原田さんが「大山の伝統文化を受け継げるよう頑張っていきたい」と抱負。三浦会長は「意気込みを聞いてすごくうれしい。ステージ発表に向けて、私たちと一緒に頑張っていこう」と歓迎の言葉を述べた。その後、入会した児童たちは保存会メンバーから踊りの振り付けを中心に学んでいた。
永壽さんと原田さんは「尾浦八景」「市立」「狐忠信」の3演目を中心に週1回けいこに励み、今年10月に開催される鶴岡市中央公民館の文化祭で、保存会のメンバーと一緒にステージ発表する予定。
2011年(平成23年) 8月27日(土)付紙面より
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建設業の阿部組(酒田市北浜町)は、火災時に体の不自由なお年寄りらをベッドごと屋外に移動させる火災報知器連動フルオート避難誘導システム「ひなんロボ」を開発した。遊佐町藤崎のモデルハウスで25日、実際に火災を発生させて動きを確認する実証実験を実施。火災報知器が感知してから約1分半後に屋外の所定位置まで移動した。菅原安治社長は「体の不自由な要介護者らを火災から守るとともに、手軽に屋外に出られることから毎日でも日光浴ができ、介護する側もされる側にもメリットがある」と話している。
このシステムは、屋内に設置した火災報知器が火災の発生を感知すると、電動ベッドカートの防炎・防煙布が要介護者を覆い、同時に避難ドアがオープン。あらかじめ設定したルートをベッドカートがセンサーで感知しながら時速約2キロで走行し、屋外の安全な場所まで自動的に誘導する。昨年7月に特許を取得した。
一方、簡単な操作で屋外に出ることが可能なため、天候次第で避難訓練と布団干しを兼ねた日光浴ができて健康面に役立つほか、要介護者を抱えたり誘導したりする必要がないことから、介護者の負担も軽減される。
システムは「すでに使われていて信頼性の高いものを組み合わせて活用した」(菅原社長)。電動ベッドカートはゴルフカートを改造、常に家庭用電源で充電し、万一の際にもバッテリー切れがないよう配慮した。ベッドカートがその上を移動する感知管は、耐熱性の高いスチール製にして屋内外に埋設する。現在のベッドカートはタイヤ方式だが、積雪があっても対応が可能で回転半径も小さくできるゴム製の無限軌道方式に変更することも計画している。
菅原社長は「火事が起きれば、木造や鉄筋コンクリート造りなどどんな建築工法であっても避難が必要で、その際に体の不自由な方を避難させるのは健常者でも大変。まして一人暮らしや老々介護の家庭、スタッフが少なくなる夜間の施設などでは逃げ遅れてしまう場合もある。『ひなんロボ』は、そうした犠牲者を一人でも少なくしたいと思って開発した」とし、介護する側の負担も軽減されるため「『かいごロボ』でもある」と強調。個人宅や小規模施設などを対象に来春から受注販売する意向を示した。
価格はシステム一式で約250万円(建物の改造費は別途)を想定し、年間100セットの販売を目標にしている。
問い合わせは阿部組モデルハウス=電0234(28)8403=へ。