2012年(平成24年) 1月8日(日)付紙面より
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ほこりをかぶって色があせ、傷みも激しいため「お焚(た)き上げ」して供養する予定だった傘福が修復され、飾られていた酒田市田沢の小平神社(佐藤播磨宮司)に6日、再び奉納・展示された。
この傘福は昭和23(1948)年4月15日奉納の記載があり、12本の糸に赤ちゃんを背負った母親(姉)、三宝に載った供え餅、枕、キノコ、ブドウ、大根、アヒルなどの他、花飾りの付いた風車や「いづめこ人形」といった珍しい細工物がつり下げられていた。
市内全域の社寺を訪れて傘福の有無・特徴などを調べている庄内傘福研究会の工藤幸治会長らメンバーが昨年4月、同神社を調査した際、段ボール箱に詰め込まれた傘福を発見。地元では昨年、同神社の氏子女性ら10人ほどが約60年ぶりに新しい傘福2本を制作し、例祭日の4月15日に奉納したのを機に、古くなった傘福を供養することにしていたが、同研究会で住民らの了解を得て持ち帰り、ほつれたりした部分などを可能な限り当時の布を使うなどして修復、このほど作業を終えた。
小平集落で「塞(才)の神」の祭りがある6日に奉納することを決定した。工藤会長らが修復した傘福を持参して同神社を訪れ、新たな傘福を披露するとともに、祭壇横につり下げた。
地元の女性たちからは「こんなにきれいになるとは」「感謝、感激」などの声が上がり、先祖による手の込んだ細工に「よく作ったものだ」と感嘆。工藤会長は「山里の農村地帯とあって決して良質な生地ばかりではないが、この傘福に込めた女性たちの願いが細やかに表現されている。見れば見るほど当時の人たちが集まって作業している様子が思い浮かぶ」と話している。