2012年(平成24年) 2月2日(木)付紙面より
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鶴岡市が老朽化に伴い本年度内に解体を予定している旧黄金村役場(同市青竜寺)の部材譲与予定者が、同市黒川の春日神社神職、遠藤重嗣さん(63)に決まった。遠藤さんは、所有する古文書などを展示する施設の建設を計画しており、この展示施設の資材として同役場の部材を活用するという。公募した譲渡希望には県内外から4件の申し込みがあり、遠藤さんの利用計画は地域性や継続性などが評価された。
旧黄金村役場は、同市出身の作家、藤沢周平さんが青年期の3年間、「書記補」として勤務した役場で、ゆかりのある建物。藤沢ファンから現在地での保存を望む声もあった。こうした経緯から市は、希望者に部材を無償譲渡することにし、昨年12月から1月10日まで公募していた。
公募には、遠藤さんのほか、庄内町の団体、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の企業、同県山元町の団体の計4件の申し込みがあった。市が「公益性」を最重視し地域振興、事業の継続性、事業実施地域の3項目を評価ポイントとして審査し、継続性と地域性で最も高い評価を受けた遠藤さんを譲与予定者に選んだ。他の希望者の利用形態は、いずれも役場の建物をそのまま生かす形で地域交流施設・レストラン、産直施設・カフェ、共同農作業所・乳幼児施設などとして活用する計画だった。市は「経済状況に左右されず継続的に利用してもらえることを考慮した」としている。
遠藤さんは、黒川地区にある「王祇会館」駐車場隣接地にある自己所有地に展示場の開設を計画しており、遠藤家や地元の地域に伝わる古文書を展示する予定という。
市は今後、遠藤さんと譲与契約を交わし、今月上旬から旧役場の解体工事を進め、3月末までに部材を引き渡す予定。