2012年(平成24年) 3月20日(火)付紙面より
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春を告げる神楽として知られる鶴岡市安丹地区の「安丹神楽」が17日、同地区公民館で行われた。東日本大震災の影響で昨年は神事のみ執り行われ、神楽が行われるのは2年ぶり。地元の青年たちがユーモアあふれる舞を披露し、集まった地元民の笑いを誘った。
安丹神楽は、江戸時代の安政6(1858)年に現在の安丹地区でコレラが発生した際、村人たちがわらを持ち寄って獅子頭を作り神楽を舞ったところ、1人の死者も出なくなったという言い伝えをもとにした伝統芸能。現在は同地区の安丹神楽会(佐藤惠一会長)が中心となり、地区の稲荷神社に神楽を奉納している。
大勢の観客やアマチュアカメラマンが見守る中、「巫女舞」や「獅子舞」、謡とともに舞う「剣の舞」が奉納された。続いて余興に当たる呼び物の「笑福」が始まり、ひょっとこの面をかぶった「長兵衛」が登場すると、場の盛り上がりは最高潮。おかめの「あねさま」とともに、笛や太鼓の音に合わせて滑稽な舞を披露した。
舞の合間には長兵衛が客席に入り込み、観客にちょっかいを出した。驚いて泣き出す子供や女性にまとわり付く長兵衛の様子に、会場は大きな笑いに包まれていた。地元の70代女性は「やっぱり神楽を見ないと春が来たような気がしない。とてもわくわくする」と笑顔で話していた。