2012年(平成24年) 4月4日(水)付紙面より
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庄内町の余目町農業協同組合(森屋要二組合長)は、ササニシキやコシヒカリ、「つや姫」などのルーツとなった同町発祥のコメ「森多早生」を使った純米酒の開発を進めている。純米酒は「白凛」と名付けられ、町の新たな特産品として来月中旬に販売を開始する。
森多早生は1913(大正2)年、旧余目町廿六木の森屋多郎左エ門が「東郷2号」の変種を選抜しつくり出した品種。高タンパク質米としての遺伝子を持ち、近代品種「農林1号」の親となって、ササニシキやコシヒカリ、はえぬき、つや姫などのルーツになった。
同農協は、森多早生の種子を受け継ぎ、後世に残していこうと毎年、同品種発祥の地・廿六木地区の農家・高梨是男さんに栽培を依頼しており、昨秋収穫したコメ約1200キロを今回初めて酒造りに利用することにした。
醸造は余目地区の蔵元・鯉川酒造(佐藤一良社長)が担当し、現在は発酵作業が進められているという。酒の名前は、他の稲と違う白い穂の森多早生の姿はりりしく、勇ましいというイメージから「白凛」と名付けられた。数量限定の販売になる見込みという。
同農協は「発祥の地で種を絶やさず受け継いでいるコメを、純米酒という新しい特産品の形で広くPRしたい」と話した。また、同農協は組合員が生産した特別栽培米「はえぬき」を原料に、余目地区の蔵元・佐藤佐治衛門(佐藤元代表)の協力で純米酒「米心」(こめごころ)も製造販売しており、「双方とも町内外で親しんでもらえれば」と話している。