2012年(平成24年) 4月4日(水)付紙面より
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鶴岡市の致道博物館(酒井忠久館長)で江戸期の浮世絵美人画を集めた展示会「江戸の美人画―歌麿・広重などの浮世絵―」が開かれている。筆者が直接描いた肉筆画や木版画による「錦絵」など、当時の風俗や文化を描いた作品が来館者の目を楽しませている。
浮世絵は江戸時代に成立した国内の絵画ジャンルの一つ。多彩な題材の中でも代表的な「美人画」は最も人気が高く、多くの絵師たちが競って当時の世相を反映した女性の姿を描いたとされる。
今回は、同市内の愛好家から借り受けた軸装・額装の肉筆画や大判版画、柱絵など計45点を展示。江戸中―後期に彫師、摺師と協力して木版の「多色摺り」の技術を開発し「錦絵の創始者」と呼ばれた鈴木晴信の美人画をはじめ、うりざね顔の美人画で一世を風靡(ふうび)した喜多川歌麿の「美人五面相・うれし相」「難波屋おきた」(いずれも大判錦絵)、浮世絵版画による風景画の完成者とされた初代歌川広重の「東都名所両国夕すゞみ」(大判錦絵3枚続き)などがずらりと並んでいる。
いずれの作品も女性の艶やかさや優しげな表情、凛としたたたずまいなどに加え、着物や髪型の流行など華やかな江戸風俗と文化を表現している。訪れた人たちは1点ずつじっくりと鑑賞していた。展示は20日まで。会期中は無休。