2012年(平成24年) 4月27日(金)付紙面より
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鶴岡市羽黒町手向の出羽三山神社神職養成所(所長・緒方久信宮司)の「入所禊(みそぎ)」が26日、羽黒山中を流れる祓(はらい)川で行われた。入所禊が行われるのは2009年以来3年ぶりで、今月入所したばかりの新入生や神職が雪解け水の流れる川に入る荒行を繰り広げた。
同神社は古くから神職の養成に取り組んでおり、1962年に神社本庁承認の養成所を開設した。入所者は寝食を共にし、神学や古典を学びながら2年間の修行に励む。3月の卒業禊、4月の入所禊は神事に従事する者が身を清める儀式として知られている。
しかし、10年度の入所者はゼロで入所禊は行われず、3人の入所があった11年度も養成所の教育システムや受け入れ態勢見直しのため禊は見送られた。本年度は52期生として村山市出身の能登邦康さん(27)が入所し、3年ぶりに入所禊が行われることになった。
この日の午前7時ごろ、白装束に鉢巻き、わらじ姿の能登さんと、先輩の51期生合わせて4人が羽黒山頂を出発し、石段を下りて国宝・羽黒山五重塔近くの祓川に到着。神職と合流して計12人が「エイホー、エイホー」と声を上げ、舟をこぐようなしぐさの準備運動で気合を込めた後、川に入った。
川は雪解け水で普段より水量が多く、身を切るような冷たさ。参加者たちは水流の強さに体勢を崩しそうになりながらも体を支え合い、「大祓詞(おおはらいことば)」を一心に唱えながら身を清めた。
先頭で梵天を支えた能登さんは「禊は不安だったが、先輩から支えてもらって何とかこなせた。気を引き締めてこれからの修行を頑張っていこうと思う」と決意を新たにしていた。