2012年(平成24年) 5月26日(土)付紙面より
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「みちのくの奇祭」として知られる鶴岡市の天神祭が25日、本祭りを迎えた。同市神明町の鶴岡天満宮には午前中、華やかな長じゅばんに編み笠(がさ)姿の「化けもの」たちが次々に訪れ、振る舞い用の飲み物をもらい、街に繰り出す姿が見られた。
天神祭は、学問の神様・菅原道真公を祭る鶴岡天満宮の祭り。道真公が九州大宰府に流されたとき、慕う人々が時の権力をはばかり、姿を変えひそかに酒を酌み交わして別れを惜しんだという故事に基づき、鶴岡では「化けもの」姿で道行く人に無言で酒を振る舞う。3年続けて誰にも正体を知られずにお参りできると、願い事がかなうといわれる。「化けもの祭り」とも呼ばれる。
25日は午前10時から、鶴岡天満宮で祭典が行われ、午後のパレードで菅原道真公役を務める本間正芳さん(56)=同市錦町、朝日小学校長=をはじめ、氏子や祭り実行委員会の関係者が参列。祭りの滞りない催行などを願った。
これに前後して、化けもの姿の小学生らが次々に訪れ、拝殿で学業成就などを祈願。振る舞い用の酒やジュースをもらい、“出陣”した。観光客が「写真を撮らせて」と一緒にポーズを決める光景もあちこちで見られた。
町内会の親子行事の一環で、長男の虎流君(朝二小3年)、次男の鷹輝君(4)とともに初めて化けものになったという小野田龍靖さん(37)=同市大東町、会社員=は「由良生まれなので、勝手が分からないところもあるが、祭りは好きなので楽しんできたい」と話していた。
午後のパレードには約2700人が参加。JR鶴岡駅前と市中央児童館をそれぞれ午後2時に出発し、鶴岡公園まで大絵馬パレードや小学生による踊りフェスティバル、仮装などのエンジョイパレードなどを展開。