2012年(平成24年) 8月30日(木)付紙面より
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兵庫県神戸市の神戸夙川学院大で26日に開かれた高校生の観光プランコンテスト「第4回観光甲子園」で、鶴岡中央高(井上利也校長)の3年生のチームが、最高賞のグランプリ(観光庁長官賞)に選ばれた。東日本大震災の被災地と庄内が連携し、相互に発展する観光プランを提案したもので、昨年の準グランプリを上回る快挙に、生徒たちは「すごくうれしい。自信につながった」と喜んでいる。
このコンテストは全国の高校生を対象に、同大学を中心とする大会組織委員会が2009年度から開催。今回は全国76校の158プランの中から10校10プランがこの日の本選に出場した。
鶴岡中央高は昨年に続く2回目の出場。メンバーはいずれも総合学科情報科学系列で、五十嵐彩さん(18)、太田あかねさん(17)、佐藤佳代さん(17)、齋藤麻友さん(18)、榎本帆波さん(18)、高橋美奈実さん(17)の6人。5月から宮城県南三陸町へ復興ボランティアに行き、「ボランティアが減り、受け入れの余裕がない」「庄内町への無料ツアーが人気」など被災地と庄内双方の声を聞き、観光プランを組み立てた。
プランは「脱・ありきたりの旅PART2?被災地と庄内を結ぶ“WinWin”な癒しツアー?」をテーマに、鶴岡市山王町のナイトバザールでの物販、地元商店街関係者との交流、工芸体験、温泉入浴などを組み込み、物販収益によって旅行費用を実質的に無料にし、将来の相互の観光交流につなげていくという内容。被災地の親子が鶴岡に来てツアーを体験する寸劇を交えて発表し、島根県の松江市立女子高(文部科学大臣賞)とともにグランプリに選ばれた。
審査委員長の石森秀三北海道大観光学高等研究センター長は講評で「観光学では貧困者のための観光『プロプアツーリズム』が試行されているが、『プロサファラーツーリズム』とも呼ぶべき被災者のための観光が見事に展開されている」とたたえた。
リーダーの五十嵐さんは「特に、双方にメリットがあるウィンウィンの関係になるように工夫した。グランプリはすごくうれしくて涙が出た。自信につながり、将来のためになると思う」と感想。担当の渡部正仁教諭は「被災地に行く既存の観光は行く側のエゴになりがち。被災地のためという視点が高く評価されたのでは」と話した。