2012年(平成24年) 8月29日(水)付紙面より
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酒田市のJAそでうら(星川功組合長)は27日、「耕作放棄地」を活用して栽培したタマネギ、ジャガイモを管内にある3小学校にそれぞれ30キロずつプレゼントした。寄贈を受けた3校のうち同市の宮野浦小学校(船越誠校長、児童380人)では、給食の一品「肉じゃが」に調理し同日、児童たちが味わった。
1年以上何も作付けせず、今後も再び耕作する明確な意思のない土地「耕作放棄地」の解消に向けたモデル事業として、同JAは自ら主体となり昨シーズン、市の協力を受けながら荒れた砂丘畑約1・7ヘクタールを耕起、この畑を活用し地元生産者がタマネギとジャガイモ、アサツキを作付けしている。
今回の寄贈は、「生産者の心のこもった地元農産物を子供たちからおいしく食べてもらいたい」と願いを込め、耕作放棄地で収穫されたタマネギ、ジャガイモを宮野浦、十坂、黒森の3小学校に贈ることにした。
このうち宮野浦小で行われた贈呈式には、星川組合長、地元生産者で同校の「地域の先生」を務める阿部順子さんと白畑喜治さん、市農林水産部の白崎好行部長、市教育委員会の石川翼久教育長が訪問。星川組合長が石川教育長に目録を手渡した後、阿部さんが「機械化が進んでいる稲作に比べ、畑作は手作業や力仕事が多くあり大変。自然相手なので難しいが、良い作物ができ、皆さんが楽しそうに食べる姿を思い浮かべるとうれしくなる」と語った。
児童を代表し5年の秋葉亜弥さん(10)が「愛情たっぷりに育てられた、地元の野菜を給食で食べることができて幸せ」とお礼を述べた。
この後、星川組合長らは児童たちと一緒に給食に舌鼓を打った。阿部さんは「自ら栽培したものが給食の材料になってうれしい。児童からは地元の野菜のおいしさを知ってもらいたい」と語った上で、「肉じゃが」の味について「すごくおいしい。特にジャガイモは軟らかい」と自ら太鼓判。
同JA営農販売部の佐藤久則部長によると、収穫した農産物は給食用の食材業者に卸したり、飲食店に対し直販する。佐藤部長は「生産を再開し、まだ1年。安定生産には2、3年はかかるだろう。他にも耕作放棄地はあるが、今後については生産管理の方法や採算性を考えながら検討していきたい」と話していた。