2013年(平成25年) 2月15日(金)付紙面より
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旅館業における地酒提供の在り方を考える勉強会が13日、鶴岡市の湯田川温泉つかさやで開かれた。同温泉の若手旅館経営者らが庄内町余目の蔵元「鯉川酒造」の佐藤一良社長(53)を講師に、生酒や古酒などさまざまな種類の地酒を試飲しながら、料理との相性や味わい方を学ぶとともに、「地酒で旅館の魅力を高めて」など持論を聞いた。
佐藤社長によると、首都圏などでは庄内地方の地酒が高い評価を得ている一方で、地元の飲食店や宿泊施設では「地酒=他に誇れる地域資源」としての意識がまだ低いという。今回はそうした課題を共有し、地酒を地域全体の魅力アップに活用してほしいと、佐藤社長が呼び掛けた。湯田川の若手旅館経営者ら約10人が参加した。
参加者は、生酒や純米大吟醸、15年ものの古酒など5種類の地酒を、冷酒やお燗(かん)で飲み比べ。魚(刺し身、焼き物)や肉(シャモ鍋など)など料理との相性を確かめた。
日本酒サービス研究会のきき酒(ざけ)師と、日本ソムリエ協会のワインアドバイザーの資格も持つ佐藤社長は「旅館は庄内の食文化の発信基地。おいしい食べ物とともに、食べ物との相性を含めワインや地酒のことを学び、選択と提案能力を持ったら、庄内の魅力はもっと高まる」と持論を展開。
酒の出し方については「冷やでおいしい酒や、お燗で豊かな香りが出てくる酒もある。飲み比べセットは、香り高い酒だけでなく、香りが穏やかなもの、コクのあるものとの3種を出し、奥深い世界を示して」など解説。そして、「地域資源としての地酒への意識を高め、客の気分や求めているものに配慮しておいしいものを出せば、客の満足度は高まり、結果的に客単価も上がる」とした。
つかさやの庄司丈彦さん(33)は「地酒を魅力的な地域資源と捉え、お客さんの満足度とともに売り上げ増にもつなげたいと思っていたので、とても参考になった。地域全体の取り組みにして、『酒肴』とも魅力的な庄内としてアピールできれば」と語った。