2013年(平成25年) 9月29日(日)付紙面より
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酒田市の松山中学校(松本克則校長)で27日、「能講座」が開かれ、2年生46人が「松山能」(県指定無形民俗文化財)を受け継ぐ演能団体「松諷社(しょうふうしゃ)」(榎本和介会長)のメンバーを講師に、古くから伝わる民俗芸能の一端を学んだ。
地元に残る貴重な文化に触れることで郷土愛を育もうと、同校が松諷社に協力を依頼。2年生を対象に、能の歴史や舞の基本、笛や小鼓など囃子(はやし)などを習得する講座を8月末からほぼ毎週、開いてきた。
この日は4日目で最終。初めに、能「船弁慶」の静御前などが着る女性の典型的な装束「唐織着流女出立(からおりきながしおんないでたち)」と、狂言にしばしば登場する「山伏」の装束を、生徒の代表が着付け体験した。
松諷社メンバーが、能は約600年前の室町時代に完成し、装束や謡などはその時から変わっていないことを説明。さらに、きらびやかな「唐織」が150万円もすると聞くと、生徒たちから「えーっ」と驚きの声や、着付けが進むと女子生徒から「きれいだなー」の言葉が漏れた。
モデルになった佐藤英恵さん(13)は「暑い。動くと突っ掛かりそうになる。この姿に、さらに面を着けて舞うのは大変だなと思った」と感想。山伏姿に変身した日下部勇平君(14)は「昔の人になった気分。とても動きにくい。これで舞えるのはすごい」と話した。
生徒たちはその後、松諷社による能「羽衣」の稽古を見学。四方に竹を置いた仮設の能舞台で、笛、小鼓、大鼓、太鼓の囃子と地謡に合わせて、シテ(主役)が華麗に舞う姿にじっくりと見入り、これまでに習った「ウチコミ」など仕舞の動作を思い出していた。