2014年(平成26年) 8月30日(土)付紙面より
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慶應義塾大の学生らが合宿形式で教養力を養う「庄内セミナー」が28日、鶴岡市馬場町の鶴岡タウンキャンパスで始まった。31日まで3泊4日の日程で、山伏修行や即身仏拝観、対話と議論を通じて「生きること」について考える。
同大教養研究センター(所長・不破有理経済学部教授)が2008年度の鶴岡セミナーを前身として実施しており、今回が5回目。同大の学部・大学院の学生29人とOBの社会人1人の計30人が参加し、「生きることを考える―庄内に学ぶ生命」をテーマに多角的に学んでいる。
初日の28日は同タウンキャンパスで開会行事があり、不破教授があいさつで「庄内の豊かな自然風土の中で自分と対話し、自然と対話し、互いに考えをぶつけ合って生命について考えてほしい。答えは出なくてもいい。まっさらな状態で臨んで」とアドバイスした。
その後、最初の課題のマインドマップ作りに挑戦。中央に「生命」と書いた白い紙に各自が連想する言葉を次々に書き込み、周囲に説明しながら考えを深めるもので、「生きるということは歴史をつくること。次の世代に何かをつなぐために生きている」「突き詰めるとよく分からなくなる。単純化して考える方がいい」など活発に議論した。
法学部4年の野町美帆さん(22)は「社会人になる転換点で、これからどう生きるべきかを一度立ち止まって学んでみたくて参加した」、経済学部3年の濱崎和久さん(21)は「修験体験に興味がある。対話を通して自分の中にある考えを深めたい」と話した。不破教授は「庄内は擬死再生の山伏修行、即身仏があり、死を思いながら生きることを考えるのに適した地域。セミナーでそれぞれの生命観が変わると思う」と庄内で生命について思索を深める意義を語った。
29日は大網の注連寺で即身仏拝観、松ケ岡開墾場見学、旧庄内藩校致道館での論語素読体験、30日はいでは文化記念館などでの山伏修行体験、31日は慶應大先端生命科学研究所ラボ棟見学を予定。夜には同大教授陣や地元の専門家らによる即身仏や羽黒修験、庄内の文化などに関する講話も行われる。