2014年(平成26年) 1月14日(火)付紙面より
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庄内町千河原の八幡神社で12日、伝統行事の「やや祭り」が行われた。上半身裸の男の子たちが厳寒の中で冷水を浴びながら、無病息災や身体堅固を願った。
やや祭りは、安産の神様を祭る同神社の歳越祭の異称。弥生時代に在位した第15代応神天皇の皇子・大山守命(おおやまもりのみこと)が跡継ぎの争いで悪臣に追われ、千河原の妊婦にかくまってもらった際に「私は死んでも神となっておまえたちの身を守る。難産のときは私の名前を唱えよ」と言い残した伝説が祭りの起源とされる。
祭りの名前の由来は、若者が手にしたわらで互いにたたき合った風習の掛け声が「ヤー、ヤー」だったという説や、子供を示す京都なまりの「やや」が元など諸説ある。
祭りの主役は地元の男の子たち。今回は6歳児から中学2年まで男子8人が参加した。曇りで比較的穏やかだった昨年に比べ、この日は時折みぞれが降るあいにくの天候。午後1時すぎに大勢のアマチュアカメラマンや見物客、家族が見守る中、「けんだい」と呼ばれる腰みの、さらしを身に着け、頭に白い鉢巻きを締めた子供たちが境内に設置された祭壇前に並んだ。
1人ずつ両手にろうそくを持ち、神社社務所前に設置された特設舞台に上がると、白装束の大人がおけでくんだ冷水を勢いよく浴びせた。身を切るような冷たさに、子供たちは頬や背中を真っ赤にしながら歯を食いしばって耐えていた。その後、集落内を練り歩き同神社に参拝した。
引き続き、「お百度参り」が行われ、地元の男子高校生が神社の鳥居下で冷水を浴びた後、拝殿を参拝。これを何度も繰り返し、大願成就を願った。
2014年(平成26年) 1月14日(火)付紙面より
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成人の日(13日)に合わせ、鶴岡市鶴岡地域、酒田市、遊佐町の成人式が12日、各市町で行われた。対象は1993(平成5)年4月2日から1994(平成6)年4月1日生まれ。各会場では華やかな振り袖やスーツに身を包んだ新成人たちが、社会を担っていく決意を新たにした。
【鶴岡市鶴岡地域】新成人は男性506人、女性468人の計974人。市文化会館で行われた式典には男性385人、女性372人合わせて757人が出席した。
市消防団藤島方面隊によるはしご乗り・まとい振り、鶴岡土曜会混声合唱団の記念演奏などの後、榎本政規市長が「この日を迎えられたのは両親や家族、恩師、地域の人々のおかげ。感謝を持って地域社会に貢献できる新成人になって」と激励。渋谷耕一市議会議長が祝辞を述べた。
続いて市立朝暘第四小5年の佐藤彪我(ひょうが)君と志藤佑奈さんが「自分の夢や鶴岡のために頑張ってください」と新成人へメッセージを送った。
鶴岡工業高等専門学校5年の佐藤雅記(まさふみ)さん(20)が「家族や地域の人へ感謝の気持ちを胸に、責任を持った優しくたくましい社会人になります」と新成人としての誓いを述べた。
式典に出席した鶴岡市西新斎町の会社員、田村直之さんは「みんな変わってなくて懐かしい。落ち着いた大人になりたい」、酒田市錦町の会社員、阿部真澄美さんは「会社で必要とされる人になりたい」と抱負を語った。
【酒田市】新成人は男性667人、女性578人の計1245人。希望ホールで行われた式典には男性518人、女性451人の計969人がスーツや振り袖姿で出席した。
主催者あいさつで、本間正巳市長は「2010年の市の人口は11万人。このままのペースで進むと、40年には7万人になると推測される。ただ、皆さんが酒田にとどまることで劇的に変化するだろう。これからの人生に幸多かれと祈る。おめでとう」と激励。本多茂市議会議長が祝辞を述べた。
新成人を代表して佐藤雅将さん、兵藤亜耶さんが所感を披露。「20年間、掛け替えのない多くの出会いがあった。これまでの皆さんに支えに感謝」と語った上で、「誇りが持て、希望にあふれる社会を築く原動力になりたい。夢の先に向かって精進し続けることを誓う」と決意を語った。
引き続き、市消防団によるはしご乗り実演、中学時代の恩師からのビデオレター披露が行われた。終了後は出身中学校単位で記念撮影。合間には、友人との久しぶりの再会を喜びながら談笑していた。
【遊佐町】新成人は男性94人、女性79人の計173人。町生涯学習センターで開かれた式典には男性70人、女性60人の計130人が出席した。
出席者全員で国歌を斉唱した後、時田博機町長が式辞を述べ、阿曽雄斗さんに「成人証書」を授与。新成人を代表して大場恒平さんが「これからは社会の一員としての自覚を持ち、責任ある行動をする。仲間と共に自己研さんに努め、向上心を持ち、明るい未来に向かって歩んでいきたい」と述べた。
その後、会場の新成人に対し、実行委員会メンバーが近況を聞く「突撃インタビュー」が行われた。終了後は近くのパレス舞鶴に移動、実行委員会主催の記念パーティーが開かれ、軽食を味わったり、各種ゲームを楽しんだりしながら旧交を温めていた。
2014年(平成26年) 1月14日(火)付紙面より
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まっすぐブナの不思議 ―ドイツのブナと日本のブナ― 平 智
鶴岡市の木は何かごぞんじですか? そう、「ブナ」です。平成の市町村合併によって誕生した新しい鶴岡市は広大なブナの森を擁する市になりました。それをきっかけに市のシンボルツリーをブナに決めたのです。ちなみに旧朝日村の木がブナでしたから、新市はそれを発展的に引き継いだといってもいいかもしれません。
ブナの実を食べたことがありますか?じつはすごくおいしいのです。生(なま)でもいけますが、ローストするととても香ばしくてたまりません!ブナの実は、森に暮らすクマなどの野生動物たちにとって格好の食料になっているようです。しかし、残念ながらブナは毎年たくさん実をならせるわけではありません。豊作の年は数年に一度くらいしかやってきません。
ブナの豊凶について精力的に研究を展開している山形大農学部の小山浩正教授の予測によると、「2013年はところによっては豊作」とのことでした。そういえば昨秋、クマさんはあまり里へとお出ましになりませんでしたね。きっと森の中に冬眠に向けて食べ貯めるのに十分な量のブナの実があったのでしょう。
小山先生はブナの実を「ブナッツ」(ブナとナッツを組み合わせた造語)と名づけ、さらに、その種皮を手で器用に剥(む)いて、食べられる部分(胚乳)を取り出すアクティビティーを「ブナリンピック」と呼ぶことを提唱しています。次の豊作年まで少なくとも数年前後あるので、本当のオリンピックみたいですね。…というわけで、次のブナリンピックはぜひ鶴岡に誘致しましょう!合言葉は、「TSURUOKA 2020」!!
毎年ドイツの森歩きをしていて不思議に思うことがあります。日本のブナは幹が曲がっていたり、枝がのた打ち回っていたりすることが多いのに、ドイツのブナは「まっすぐ」なのです。日本のブナがまっすぐでないのは、少し前の時代までたくさんの薪(たきぎ)を確保するために盛んに枝を繰り返し切ったからかもしれません。そのせいで、「あがりこ」と呼ばれるモンスターのような樹形のブナが多くなったとも考えられます。ドイツではそういうことはあまりなかったのかもしれません。しかし、それにしてもドイツのブナの幹はすごく「まっすぐ」なのです。
これは、ブナ自身の「性格」の問題なのか、それとも「環境」のせいなのか、興味がわくところです。ドイツのブナは生まれながらにしてまっすぐ伸びる性質を持っているのでしょうか。それとも、ドイツの自然環境がまっすぐ伸びるのに適しているのでしょうか。
それぞれのブナの遺伝子を解析してどの程度異なっているのかを調べてみることもできる時代です。でも、もっと実感を持って確かめるためにはやはり、ドイツのブナを日本に、日本のブナをドイツに、実際に植えて育ててみるといいでしょう。それを実行に移すためには、きっと植物検疫に関わる手続きも必要でしょうが、それよりもなによりも長?い時間が必要ですね。私たちの次の世代の人たち、いや、もっと後の世代の人たちが結果を確かめてくれることでしょう。そんな壮大なスケールの実験もぜひやってみたいものですね。
(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)