2014年(平成26年) 4月2日(水)付紙面より
ツイート
1日から消費税率が5%から8%に引き上げられた。増税は1997年4月以来、17年ぶり。庄内地方の各小売店などでは商品やサービス価格が変わり、店員などが前日から表示価格の切り替え作業に追われた。その一方で、先月31日までの“駆け込み需要”の反動で個人消費が落ち込むことが予想され、販売側からは「景気回復が減速するのでは」と影響を危惧する声が上がっている。
地元スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなどでは、1日から8%の税率を反映した価格表示に切り替えた。31日深夜から1日の朝方まで切り替え作業を行った店舗が多く、鶴岡市内のあるコンビニエンスストアでは、それまでの5%税込み価格の表示から「商品の本体価格」と「8%税込み価格」の両方の表示とした。
同店の店員は「店員数人で31日夕方から翌朝6時ごろまで作業した。商品点数は3300点前後だから何とか対応できたが、大型量販店はかなり大変だったのでは」と語った。
一方、消費税増税とともに地球温暖化対策税(環境税)も同時に上がる“ダブル増税”の影響で、ガソリンスタンドは全国的に1日から店頭表示価格が軒並み1リットル当たり5―6円の値上げとなった。庄内の各店でも先月31日までの「駆け込み給油」から一転し、1日は客の姿が少なくなった。
地球温暖化対策税は、現行の石油石炭税に上乗せされる形で化石燃料の利用量に応じて課税される。2012年10月1日から3年半かけ、段階的に税率が引き上げられる。2段階目となる今回、ガソリンは1リットル当たり25銭の引き上げとなった。
鶴岡市内のガソリンスタンドでは「先月29―31日は客が多く、特に31日に集中した。セルフサービスの店は売り上げが通常の2倍、フルサービス店なら2割増となった」という。ところが「(増税後の)1日になったら急に客足が遠のいた。ここ数日はこんな状況が続くのではないか。結局、1週間や月単位でみたら全体の売り上げは変わらなそう」と話した。
また、「1日からガソリンは6円の値上げとなったが、上がった分は全て税金でもうけは全くない。ガソリンに限ったことではないが、今後は消費者が1円でも安い店に流れていく傾向が強まるのでは」と危惧し、「『昔からこの店で買っているから』という人のつながりが薄れ、中小企業は厳しい状況に追い込まれそうだ」と表情を硬くした。
酒田市内のある飲食店では1日午前、店頭に設置しているたばこの自動販売機の値札を張り替える作業が行われた。税率引き上げに合わせ、ほぼ全ての銘柄で1箱当たり10―20円のアップという。
作業を行った店主の男性(66)は「値札の張り替えは手作業なので大変。自分はたばこを吸わないので銘柄が分からない。余計に手間がかかる」と話していた。
2014年(平成26年) 4月2日(水)付紙面より
ツイート
鶴岡市のあつみ温泉で1日、恒例の朝市が始まった。まだ寒さが残る中、海産物の加工品や特産品などが店頭にずらりと並び、売り子の女性たちの活気あふれる声が温泉街に響いた。
あつみ温泉の朝市は、江戸時代中期、「あば」と呼ばれる海岸部の女性たちが新鮮な魚介類や農作物を道端で販売したのが始まりとされる。現在はあつみ温泉朝市組合(富樫富男組合長、参加9店)が、温泉街の中心部にある木造平屋建ての長屋式店舗で営業している。
初日は、気温は低いものの澄んだ青空が広がる天候に恵まれた。店頭にはイカの一夜干しやワカメなどの海産物、特産の赤かぶ漬け、あつみ温泉名物「元禄餅」、べろべろ餅などが並んだ。売り手の「いらっしゃい」「これ食べてみて」「見ていって」などの声に誘われるように地元の人や観光客らが足を運び、お土産を買い求めた。
ツアーで温泉を訪れた群馬県高崎市の70代主婦は「朝市は見たり買ったりも楽しいが、地元の人と話ができるのが魅力」と特産の赤かぶ漬けを購入していた。富樫組合長は「天気が良くて良かった。5月の連休あたりはもっとにぎわうと思う」と話していた。
今シーズンの朝市の営業は11月いっぱい。営業時間は午前5時半から同8時半ごろまで。