2016年(平成28年) 8月26日(金)付紙面より
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鶴岡市由良地区の漁師の新造漁船としては20年ぶりという「海生丸」(2・9トン)の進水式が25日、由良漁港で行われた。はえ縄漁師の五十嵐健生さん(43)=同市由良二丁目=が新造したもので、五十嵐さんは「船を新しくして、ますますやる気が出た。若い人が漁業に希望を持てるよう、庄内の漁業を活気づけたい」と意欲を語った。
五十嵐さんは同市湯温海出身。旧温海高を卒業後、大手運送会社に就職し東京で港湾関係の仕事に従事。5年ほどで帰郷し鶴岡市内や山形市内で洋品店を経営。7年前に漁師になることを決意した。実家は漁師ではないものの、高校時代はヨット部に所属し、もともと好きだった釣りでは2級小型船舶免許を持ち、大物を狙って海外に何度も出掛けるほどだった。知り合いの漁師から「そんなに釣りがうまいのなら、釣ったものを売ればいいのに」と言われたことがきっかけで、まったく畑違いだった漁師の道に進む決断をした。
県漁協に相談し、新規漁業者育成の研修制度を活用して独り立ち。中古船を求めタイやトラフグ、サワラなどのはえ縄漁を始めた。船の老朽化に伴い、県や市の補助制度を使い新船を建造。造船は地元の豊浦造船鉄工(佐藤一安社長)が担い、今年4月から4カ月で造った。総額約2650万円という。
新船の進水式は豊浦造船鉄工前の由良漁港で行われ、五十嵐さんの家族や親類、知人、地元の漁業者、造船関係者ら約50人がお祝いに駆け付け、「おめでとう」「頑張って」の言葉があふれて、浜は明るく華やかな雰囲気に包まれた。進水式では神事が行われ、五十嵐さんらが玉串をささげ、操業の安全と漁の大漁を祈願。その後、五十嵐さんが海生丸に乗り込み、何枚もの大漁旗をたなびかせながら漁港内を回りお披露目した。