2016年(平成28年) 10月2日(日)付紙面より
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国宝の太刀や重要文化財の短刀など庄内藩当主の酒井家に伝来した名品の数々を紹介する企画展「SAMURAIの美 出羽庄内藩酒井家ゆかりの名品」が1日、鶴岡市の致道博物館で始まった。各地の刀剣を擬人化したオンラインゲーム「刀剣乱舞―ONLINE―」とのコラボレーション企画も行われ、県内外から訪れた大勢の刀剣ファンが「美」の世界を楽しんでいる。
酒井家初代・酒井忠次は徳川家康の下で数々の戦功を挙げ、徳川四天王筆頭と称された。戦国の世が終わると3代忠勝が庄内へ入部。以降酒井家は幕末まで一度も転封することなく庄内の地を治めた。今年は忠次公没後420年に当たり、酒井家の歴代藩主たちが収蔵した名のある刀剣や絵画など美術工芸品を一堂に集めての展示とコラボ企画で名品にスポットを当てる。
初日は早朝から刀剣を愛する「刀剣女子」が長蛇の列をつくった。午前8時の時点で県内外から270人を超える人が博物館を訪れ、博物館では整理券の配布に追われていた。8時45分すぎに始まった開幕式では酒井忠久館長が「時代を映した名品の数々をじっくりご覧ください」とあいさつし、酒井館長やゲーム原作を制作したニトロプラスの小坂崇氣社長など5人がテープカットで開幕を祝った。
会場には織田信長より拝領された太刀銘「真光」、徳川家康より拝領された太刀銘「信房作」の国宝をはじめ、短刀「信濃藤四郎」や書、かぶとなどの重要文化財、県指定文化財など45点を展示。訪れた刀剣ファンたちは名品一点一点の前で足を止め、じっくりと鑑賞していた。
コラボレーション企画では、ゲームの案内役「こんのすけ」との写真撮影やキャラクター「信濃藤四郎」の等身大パネルの設置、記念イラストの展示などが行われ、ゲームのファンが写真撮影などを楽しんでいた。
列の先頭に立った20代の女性2人は鶴岡と酒田から参加。「信濃藤四郎を見るために朝5時半ごろから並んだ」と話していた。東京都から来た倉千春さん(21)は「ゲームで刀剣に興味を持ち、一番好きな信濃藤四郎を楽しみにしてきた。地金が美しくこんなに澄んだ刀は他にない」と感極まった様子で感想を話した。同じく東京都から来た加藤亜也さん(27)は「いろんな刀剣を見たが作る人によって個性が出ていて面白い。初心者でも分かりやすい展示がうれしい」と話していた。
展示は30日まで。