2016年(平成28年) 2月17日(水)付紙面より
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酒田市黒森地区に約280年前から伝わる農民歌舞伎「黒森歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)が15日、地区の日枝神社境内の常設演舞場で奉納上演され、県内外の伝統芸能愛好者らが時折雪が舞う屋外での「雪中芝居」を楽しんだ。17日にも同会場で、同じ演目が上演される。
江戸・享保年間(1716―35年)、村人のすさんだ生活に心を痛めた与作という村人が、勧善懲悪の教えを広めようと、若衆に芝居をさせたのが始まりとされる。現在は地区住民による妻堂連中(佐藤進一座長)が受け継ぎ、毎年2月15、17日に「正月公演」として奉納上演している。
今年の出し物は、前座となる黒森小児童の少年歌舞伎が昨年と同じ「菅原伝授手習鑑」の「吉田社頭車引の場」、妻堂連中による本狂言は24年ぶりとなる「源平布引滝」の「木曾義賢討死の場」「九郎助住家の場」の2幕。
この日は前日までの比較的暖かい雨模様から真冬に舞い戻り、時折雪がちらつく寒い天候。正午すぎに少年歌舞伎で幕開けし、小学生とは思えない見事な見えに大きな声援が飛んだ。本狂言は、コミカルなシーンや迫力の大立ち回り、涙を誘うヤマ場ありと、本格的な芝居。防寒着に身を包んだ観客は、地酒や幕の内弁当、温かいそばなどを飲み食いしながらの伝統の観劇スタイルで、思い思いに雪中芝居を楽しんでいた。
17日も正午から少年歌舞伎、午後1時から本狂言という同じ演目が行われる。入場無料。また、3月6日は正午から「酒田公演」が同演目で行われる。こちらは前売り500円、当日700円(未就学児は無料)。問い合わせは黒森コミュニティセンター=電0234(92)2255=へ。
2016年(平成28年) 2月17日(水)付紙面より
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ユネスコ食文化創造都市の鶴岡市へ研修に訪れているイタリア食科学大の学生と市民によるワークショップが15日、同市のグランドエル・サンで行われ、鶴岡の食文化の海外発信や海外客向け商品開発などをテーマに意見交換した。
同大は食科学を専門とする世界唯一の大学で、2004年にスローフード協会国際本部などが設立。世界70カ国以上の学生が集まり、別名「スローフード大学」とも呼ばれている。同市が昨年10月、イタリア・ミラノ国際博覧会に出展した際、関係者が同大を訪問したのがきっかけとなり、イタリアやロシア、イギリス、ブラジルなど7カ国の20―30代の学生12人と教員1人が今月10―16日の日程で鶴岡を訪れた。
「食」を多方面から学ぶ外国人の視点から、鶴岡の食文化の発展についてアドバイスしてもらおうと、鶴岡食文化創造都市推進協議会(会長・榎本政規市長)がワークショップを企画。学生のほか、市内の農家や飲食店関係者、食文化に関心のある市民ら約40人が参加。6つのグループに分かれて意見やアイデアを出し合った。
学生たちからは「鶴岡は山、里、海がつながっているのが魅力」「これほど食文化に熱心な地域はない」との感想があったほか、外国人の受け入れに関し「1日3食全てが日本料理ではつらい。パンやコーヒーで落ち着いてもらえる時間も必要」「山と食べ物へ尊敬の念を持っているのが素晴らしい。味だけでなく、そうした精神文化や食文化の背景を伝えていくといいのでは」などの意見があった。
また、外国人対象の鶴岡の食文化体験ツアーについて「ユネスコ食文化創造都市を基にスローフードに興味を持つ人をターゲットにして」「焼き畑の赤カブ栽培を組み込む」などのアイデアが出された。
同大の一行は1週間の滞在中、鶴岡の食の体験、大山新酒・酒蔵まつりへの参加、出羽三山の精神文化体験などを通じて国際的に注目される鶴岡の食文化へ理解を深めた。