2016年(平成28年) 2月3日(水)付紙面より
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鶴岡市第一学区のコミュニティ振興会や社会福祉協議会、町内会が連携し、地域の子供たちから町の仕組みなどについて学んでもらうプロジェクト「僕たち私たちの町を知ろう」が1日、同市立朝暘第一小学校(本田淳校長)で行われた。3年生を対象に、同学区の高齢者世帯の現状や町内会の役割などを伝え、「町づくりのために何ができるか」を子供たちから考えてもらった。
プロジェクトは市第一学区コミュニティ振興会(佐藤智志会長)が中心となり、今回初めて企画した。未来を担う子供たちから町内会の仕組みや町行事について知ってもらい、町づくりの大切さについて考えてもらうことが目的。
この日、同振興会や学区内の各町内会関係者、民生児童委員など16人が同校を訪れた。90人余りの3年生に、同振興会の佐藤会長が高齢者世帯の現状について「第一学区の人口1万604人のうち65歳以上のお年寄りは3101人。およそ100人のうち30人が高齢者」と説明。「年を取ると体力が落ちるため、除雪などの力仕事だけでなく買い物や掃除、ごみ出しなど日常のことでも困っている」と話した。また、第一学区町内会協議会の鈴木淳士会長が「町内会は親睦活動や防災・防犯活動、子供からお年寄りまでの見守り、町内の環境整備など多くの活動をしている」と説明したほか、民生児童委員の活動なども紹介された。
その後、児童はそれぞれのクラスに戻り、「お年寄りのために自分ができること」をテーマに、ブレーンストーミング方式で考えを出し合った。児童たちは「掃除する」「生活の見守り」「家事手伝い」「買い物の手伝い」などを次々と挙げていた。樋口結葉さん(9)は「お年寄りは普段の生活の中でもいろいろな不安を抱えていることを知った。自分ができることを手伝ってあげたい」と話していた。
同振興会は4日、同校6年生を対象に認知症講座を行う。2回の講座の結果は今月13日に第一学区コミュニティ防災センターで行うワークショップの参考にするという。
2016年(平成28年) 2月3日(水)付紙面より
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鶴岡市黒川地区の王祭が1、2の両日、地区の鎮守・春日神社などで行われ、神の依(よ)り代を下ろした上、下の当屋では、500年以上の歴史を持つ黒川能(国指定重要無形民俗文化財)が夜を徹して上演された。
旧正月の祭事で、春日神社から神の依り代「王祇様」(長さ約2・4メートルの梵天状の木を3本組み合わせたもの)を上、下両当屋に下ろし、それぞれ1日夕から2日明け方まで能楽で供応する。今年の当屋頭人は上座が渡部権作さん(80)=屋号・権兵衛、上の山、下座が上野繁美さん(82)=同・與七、小在家=が務め、上座が黒川上区公民館、下座が黒川中区公民館でそれぞれ行われた。
このうち下座の会場となった黒川中区公民館では1日、午後6時すぎから演能がスタート。初めに地区の幼年の男児が演じる「大地踏(だいちふみ)」が行われ、秋山久海大(くうと)君(5)が扇のように広げられた王祇様の前で口上を述べ、舞台の四方を踏み締めるなどし、かわいらしい姿で喝采を浴びた。
続いて、儀式能「式三番(しきさんば)」、能「嵐山」、狂言「禰宜山伏」、15年ぶりの上演となる「小袖曽我」など能5番、狂言4番が夜通し演じられた。「嵐山」では桜に宿った神々が登場し、間狂言「猿聟(さるむこ)」の滑稽な舞台を挟んで、幽玄の舞台を繰り広げた。
会場には当屋の親類や地区住民をはじめ、全国の能楽ファンが大勢訪れ、名物の凍(し)み豆腐料理や酒を味わいながら、地域に根付く神事能の世界に浸った。
寒河江市から訪れた山本洋一さん(68)は「5歳の子どもがそらんじる大地踏の姿に、さすが地域の力だと感激した。謡と演奏が身近に感じられ、舞い手の息遣いが感じられる臨場感がすごい」と話していた。
2日は春日神社で、上座の能「難波」、下座の能「嵐山」、両座立ち合いによる「大地踏」、「式三番」の順に奉納された。