2016年(平成28年) 5月3日(火)付紙面より
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地元での消費拡大と食の観光資源化を目的にした県庄内総合支庁主催の食の都庄内「おいしいトラフグ料理講習会」が1日、鶴岡市由良コミュニティセンターで開かれた。新庄市出身でミシュランガイド2つ星レストランの「赤寶(せきほう)亭」(東京都渋谷区)店主、赤塚真一さんらが庄内浜のトラフグを使って生き締めや薄造り「てっさ」(フグ刺し)などを実演。地元料理人らが味や技術を学んだ。
庄内浜産の天然トラフグは近年、育成・放流事業もあって漁獲量が増加、生産額も2000万円ほどに拡大している。しかし、地元での食習慣があまりなく、調理技術も普及していないこともあり主に首都圏向けに出荷され、地元に出回る量が少ないことから、「食の都庄内」の新たな食材として観光誘客も視野に初めて料理講習会を企画した。
この日は地元漁師やホテル・旅館の料理人ら約20人が参加。初めに赤塚さんが講話で、昨冬に庄内を訪れ庄内浜の水産物に触れ、「カニやフグなど本当にいい素材があると再認識した」と評価。近年の外国人旅行者の増加で本当においしい日本料理が求められているとし、「一番大事なのは鮮度と品質。庄内では非常にいいものができるのでは」と話した。
その後、赤寶亭の料理人、松本一樹さんと庄内浜の底引き網漁で捕れたトラフグを使って解体から調理。内臓や目玉など不可食部分を示しながら、身から剥いだ皮からさらにとげのある皮を引き切り、余すとこなく食べる技を披露。1週間前から熟成させた身とともに薄造りを仕上げ、空揚げとともにその場で参加者が味見した。赤塚さんは「庄内のフグは年間を通してこれだけおいしいのはないというぐらい味がいい。旬の冬にコンスタントに仕入れられるなら、下関や九州の産地から切り替えてもいい」と庄内産のフグを高く評価。参加した漁師の鈴木重作さん(62)=小波渡=は「われわれがフグ調理の資格を取るなど取り扱いのレベルを上げ、いろんな取引を提案できるようにしたい」と話した。
2016年(平成28年) 5月3日(火)付紙面より
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酒田市松山地域で1日、恒例の「武者行列」(市指定無形文化財)が行われ、甲冑(かっちゅう)姿の武者たちが松山地域の中心部を練り歩き、時代絵巻を繰り広げた。
庄内藩の支藩・松山藩の初代藩主・酒井忠恒公(1639―75年)らを祭る中山神社春の例大祭「松山まつり」で毎年行われている。起源は定かでないが、江戸・宝暦7(1757)年に奴(やっこ)を出したという記録が残っており、少なくとも250年以上は続いている。1986年、旧松山町が無形文化財に指定した。
今年の行列には、東部中学校の生徒や一般公募を含め約120人が参加。裃(かみしも)姿の奉行を先頭に、挟み箱や奴振り、甲冑武者による鉄砲組や弓組、足軽組など役割別に隊列を組み、午後1時すぎに中山神社を出発し、ほら貝と太鼓を鳴らしながら約3時間かけて約4キロを練り歩いた。
歴史情緒あふれる松山歴史公園内の松山城大手門(県指定文化財)を通る時は、大勢のアマチュアカメラマンらが陣取り、見事に再現された時代絵巻を逃がすまいと、盛んにシャッターを切っていた。