2017年(平成29年) 7月25日(火)付紙面より
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県漁業協同組合(本間昭志代表理事組合長)は24日、日本海・大和堆での北朝鮮籍とみられる漁船の違法操業について、吉村美栄子知事に「今後、違法操業が拡大すれば日本の漁業に大きな影響が出る。強力な取り締まりを実行するよう、県として国に働き掛けてほしい」と要請した。
大和堆は秋田・男鹿半島から西方約400キロの水深が急激に浅くなる海底地形。地形の影響を受けて海流が蛇行するためプランクトンなどが豊富で、日本海有数の漁場とされる。毎年6月ごろに北上中のスルメイカが、10月ごろは産卵のため南下するイカが捕れ、石川や山形、北海道、秋田などから漁船が出漁する。
この日、本間組合長と西村盛参事が県庁を訪問し、吉村知事に要請書を手渡した。本間組合長は「今年6月上旬から本県を含むイカ釣り漁船団13隻が大和堆付近で操業を開始した。ところが当初から北朝鮮籍とみられる小型漁船数百隻が、国際的に違法とされる流し網操業を行っている。私たちが集めたスルメイカの群れに流し網を投入して横取りするなど、極めて悪質。本県の漁業に甚大な影響を与えている」と説明した。
県漁協によると、流し網漁は主に表層の魚を捕獲する漁法。いかりなどに固定せず網幅などの制限がないため大規模な漁獲ができるが、魚類の乱獲や海鳥などを巻き込むなど生態系への影響が大きく、国連や国際漁業協議で規制されている。
また、本間組合長は「本県の漁業に影響するだけでなく、万が一スクリューが流し網を巻き込むと小型船なら転覆の恐れもある。水産庁の取締船が配備されているが、退去指示に効果がなく、逆に相手から銃口を向けられたとも聞く。放水銃の使用や拿捕(だほ)など強力な取り締まりを即実行し、違法漁業を繰り返す船の速やかな排除を国に働き掛けてほしい」と訴えた。
これに対し吉村知事は「皆さんの不安はもっとも。要請を踏まえ、しっかりと政府に伝えたい」と語った。