2017年(平成29年) 8月10日(木)付紙面より
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2020年の東京オリンピック・パラリンピックでニュージーランド(NZ)のホストタウンに登録されている酒田市は21日、「東京オリンピック・パラリンピック酒田市ホストタウン推進協議会」(仮称)を立ち上げる。市内のスポーツや産業団体、行政など多様な主体が連携し、NZとの交流を魅力ある地域づくりに生かしていく方針だ。
ホストタウンは、東京五輪・パラリンピックで日本を訪れる選手らとの交流を地方創生につなげるため、内閣府が全国の自治体を登録、交流事業や施設改修の一部を財政支援するもの。酒田市は昨年12月の第3次で、トライアスロン競技を軸にNZのホストタウンとして登録された。同市では、みなと酒田トライアスロンが今年で32回目を迎えるなど同競技が盛んで、同市の東北公益文科大にはニュージーランド研究所が併設され、公益政策の先進地として研究していることなどが主な背景だ。
市ではNZとの交流を一過性のものにせず、魅力ある地域づくりのきっかけにしていく方針で、本年度の市のホストタウン推進事業では「酒田にNZレガシー(遺産)を創る」をテーマに掲げた。NZの優れた点を「遺産」として学び、国の違いや地域性を踏まえ、新たな酒田の遺産を創造していこうという趣旨。NZの具体的な「遺産」としては、▽社会福祉・社会保障の先進国(世界で初めて手話を公用語とし、女性参政権を実現)▽行政改革先進国(住民主導の環境問題への取り組みや効率的な行財政運営)▽世界最強の農業大国(ハイテクを駆使し生産性の高い農業は若者にも人気で、国内総生産に占める農林水産業の割合は日本の約5倍)―などを見据えている。
推進協議会は、地域の多様な主体が連携し、NZとの交流を通じたレガシー創造を酒田の魅力向上や活力創造につなげる狙い。当初の構成団体としては、市内のスポーツ、商工、農業、観光、福祉、自治会、公共交通機関、学術、行政、報道、まちづくり団体など約40団体を予定している。
当面の活動としては、東京五輪・パラリンピックの事前キャンプの誘致、国内外のオリンピアンやパラリンピアンを招く交流事業を予定。農業や福祉などNZのレガシーに関する多様な分野での交流推進にも取り組む。活動経費は市の負担金を中心に、市民の参画意識の醸成を兼ね、市民募金を行うことも構想している。
21日は午前10時から市役所で設立総会を開き、当面の事業計画などを決める。市市長公室では「交流を通じ、NZの優れた点を酒田に根付かせ、活力につなげていきたい」としている。