2017年(平成29年) 10月9日(月)付紙面より
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日本海沿岸東北自動車道(日沿道)の建設促進に向けた「日本海夕陽ラインシンポジウムin遊佐」が7日、遊佐町吹浦の遊楽里で開かれ、経世論研究所(東京都)の三橋貴明所長の講演や、地元関係者を交えたパネル討論を通じ、高速道路が地域活性化に果たす役割の重要性などを考えた。
日沿道沿線の新潟、山形、秋田、青森4県の青年会議所(JC)が日本海夕陽ラインネットワーク協議会を組織し、1988年に酒田、鶴岡両市で第1回を開催。以来、毎年各JCの回り持ちで開いている。29回目の今年は、酒田JCの大矢貴幸理事長が協議会長を務め、同JCが主管、他の沿線10JCが副主管で開いた。国交省東北地方整備局の津田修一局長をはじめ、同省や沿線の各県、市町村、経済団体の関係者らの来賓を含め、住民ら約300人が参加した。
初めに三橋所長が「地域連携とインフライノベーション」と題して基調講演。「庄内は高速道路が途切れていることで有名。片側1車線で中央分離帯がポールというのは、発展途上国の基準でも高速道路とはいわない」と切り出し、「自然災害大国・日本で3000万人が集中する大都市(東京)は問題。お互いに助け合うには、一定規模の都市が分散して存在すべき。東京や太平洋側から日本海側に人口を移動させるには、インフラ整備しかない」とした。
また、「デフレ脱却のためには公共投資を増やすことが重要」とした上、日本で公共事業の費用対効果を考える場合に経済成長や防災への貢献度が含まれないことを疑問視し、「地元の人は声を集め、『都市の防災に役立つ』と訴えないといけない」とした。1000兆円余の国の借金を理由に公共事業の増加に二の足を踏む考え方については「国債の4割は日本政府の子会社である日銀が保有しており、財政が破綻することはない」と持論を展開した。
続くパネル討論では、三橋所長と時田博機遊佐町長、酒田JCの大矢理事長の3人が、同JCの若村光司副理事長の司会で意見交換。大矢理事長は「高速道路ができ、酒田の京田西工業団地は立地企業が増え、鶴岡のあつみ温泉は観光客が増えた」、時田町長は「高速道路を、豊かさをもたらす道路にするため、パーキングエリアタウン構想を進めている」、三橋所長は「日本は人口が減っているから公共事業はもういいという人がいるが、生産年齢人口が減っているからこそ、生産性向上のため、インフラ整備が必要」など意見を述べた。