2018年(平成30年) 7月15日(日)付紙面より
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「マルノー山形」ブランドでみそ・しょうゆなどの製造・販売を手掛けるJA庄内みどりの子会社「みどりサービス」食品部(旧山形農工連、酒田市砂越)が、しょうゆ類を中国に本格輸出することになり13日、初出荷式が同社で行われた。東北地方の食品の中国輸出を手掛ける「東源物産」(本社・宮城県塩釜市、富士畑在東社長)と連携した輸出で、庄内地方では3件目となる。
今回輸出したのは「本醸造うす塩しょうゆ」「本醸造無添加しょうゆ」「さしみ醤油(しょうゆ)」「本醸造めんつゆ」の4種。いずれもオリジナルの150ミリリットル入りで、計5200本。このうち「うす塩」は東源物産と共同開発し、甘味料不使用などのオリジナル商品、他の3種の中身は従来品。
酒田港から輸出し、東源物産の現地法人である「東銀来食品有限公司」(本社・上海市)を通じ、中国全土にデパート約70店舗を展開する大手小売チェーン「Ole(オーレ)」を主な取引先に、上海の久光、高島屋両百貨店を含め小売り展開していく。
この日の初出荷式では、みどりサービスの佐藤淳社長、同社会長の阿部茂昭・JA庄内みどり組合長、酒田市の丸山至市長、東源物産の二上達也副社長の4人が商品を段ボール箱に詰めるセレモニーを行った後、商品を積んだトラックを送り出した。
同社はこれまで海外には、10年ほど前から台湾や香港、米国に焼き肉のたれや柿酢ドリンクなどを輸出し、しょうゆ類の本格輸出は初。今後は8月半ばごろまでに「卵かけしょうゆ」「焼き肉のたれ」「すき焼きのたれ」の3種も輸出予定。
佐藤社長は「酒田港を使った船便は太平洋側より近く有利。中国市場で販路を広げたい」と抱負。東源物産の佐藤丈晴マーケティングマネジャーは「これまで東銀来ブランドが築いてきた安心・安全や高品質への信頼で、先行の大手とは差別化を図れる。様子を見て、年内にはもう1回輸出したい」とする。
東源物産は2015年に中国遼寧省出身の富士畑社長が設立した。庄内関係の輸出は、酒田米菓(酒田市)のせんべい(昨年4月と10月)、米シスト庄内(庄内町)のかりんとう(同10月)に続き3件目となる。
旧山形農工連は1939年創業の飽海郡産業組合協議会醤油工場を前身に48年、飽海農工連として設立。2016年4月にJA庄内みどりの自動車・燃料・葬祭事業を手掛けてきたみどりサービスに事業を全部譲渡し、同社食品部として再スタートしている。
2018年(平成30年) 7月15日(日)付紙面より
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鶴岡市内の企業で組織し、外国人技能実習生の共同受け入れ事業を実施している山形専門産業協同組合(鶴岡市伊勢原町、理事長・中村修一ナカムラ代表取締役会長)が、実習生受け入れを始めて10年となった。昨年度までに中国、フィリピンから受け入れた実習生は96人に上り、組合加盟企業で技能習得に励むなど実績を挙げている。12日には10回目となる受け入れでフィリピンから16人の若者を迎え、入国後講習の開講式が開かれた。
同協同組合は、地元の建設関連企業が集まり2006年9月に設立した。地方での人口減少、生産年齢人口減少による働き手不足を想定し、国の制度を活用した共同での実習生受け入れを目的に立ち上げ、08年度から受け入れをスタートした。
当初は建設関連企業のみだった加盟社は現在、食品製造や食品関連企業などにも広がり、9社で構成。08―15年度は中国、17年度からはフィリピンから毎年10人前後を受け入れており、今回は過去最多の受け入れ人数となった。受け入れ期間は3年。同協同組合は「鶴岡地区の有効求人倍率は2倍を超えるなど県内で最も高く、外国人技能実習生を求める企業が増えている。サービス関連企業からも実習生を受け入れたいといった要望があり、業種の幅が広がっている」と話す。
鶴岡市の協同組合事務所で行われた開講式では、20―30代の実習生男女16人が日本語で専門技能などを自己紹介し「自分の将来や家族のために日本に来た。頑張ります」と決意を述べた。来月中旬まで1カ月間、日本語や鶴岡での生活に関する研修を経て、加盟企業のナカムラや療食・ベストなど4社に技能実習に入る。
協同組合の中村理事長は「新規学卒や中途採用、女性や高齢者の雇用など、人材確保のための多様なチャネルの一つとして外国人技能実習生の受け入れを進め、成功している。人口減少で働き手の確保はますます困難になる。さまざまな業態の企業から受け入れの打診があり、事業を継続していきたい」と話した。